兼六園下に金沢市内「最古」のホテルを開発/西松建設がビル「北陸会館」をリノベーションへ

兼六園下に金沢市内「最古」のホテルを開発/西松建設がビル「北陸会館」をリノベーションへ

金沢市兼六元町に、現存する建物を使ったホテルとしては「最古」と言えそうな施設が誕生する。私鉄労組系の古いビル「北陸会館」を西松建設(東京)がホテルにリノベーションし、2024年春にも開業させる。

右の黒っぽい建物が北陸会館。左が金沢地方裁判所や金沢城公園

場所は「兼六園下」交差点の角地で、金沢地方裁判所の向かいに当たる。既にテナントは退去している。

計画によると、既存建物(北陸会館)は地上6階、地下1階建てで、敷地面積は319㎡。建築面積は216㎡、延べ床面積は1,253㎡となる。

2023年9月から改修工事を始め、2024年2月末に完了を予定している。ホテル名は仮称で「兼六元町ホテル」としている。

建物は1966年に「設立」???

2023年5月23日付の北國新聞は記事中で、北陸会館が「1966(昭和41)年に設立」と紹介している。

「設立」は会社や協議会のように形のない組織を新たにつくることなので「建物が設立」という表現は意味不明だが、ビルの竣工年を示したかったのだろう。校閲がんばれ。

しかも「築57年となるビルは老朽化が進み、改修に合わせてホテルとする」らしい。建物がボロくて他に使えないからホテルに鞍替えするということ?開発主、今からココで客商売をするのに、そんな説明で良かったの?と違和感を禁じ得ない。

こうした書きぶりに加えて「供給過剰に懸念の声」という関連記事を併載してハナから水を差す地元新聞社。この開発にはどうやら否定的なスタンスのようだ(そもそも、むやみに肯定も否定もせず事実を書けば良いと思うが…)。

市内最古のホテルは金沢ニューグランドホテルか

さて、金沢市ホームページによると、現存の宿泊施設のうち、市内で最も昔に営業許可を受けたのは1965(昭和40)年許可の「きくのや旅館」(広坂1丁目)となっている。

ホテルに絞ると、1972(昭和47)年の「金沢ニューグランドホテル」(南町)が最古で、翌73年に金沢スカイホテル(現 ANAホリデイ・イン金沢スカイ)が許可を受けた(ちなみに、閉館した旧金沢都ホテルは1963年開業で、ニューグランドより9年早かった)。

金沢市ホームページの資料を、許可年月日で並べ替えた

北陸会館を改修して造るリノベーションホテルは、営業許可の時期で言うと2024年になるだろう。

ただ、どうも古い建物内に後から開業したホテルが見当たらないので、建物だけで言えば、現存する金沢市内のホテルで最も古いことになりそうだ。

立地は兼六園や金沢城公園に近く、建物は半世紀以上前のもの。筆者としては、改修を終えたらどんな感じでプロモーションするのか興味深いところでもある。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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