北陸信越運輸局は2023年7月10日、北陸信越5県の2022年の宿泊者数に関する集計結果を発表した。当サイトでは、これを新型コロナウイルス禍前の2019年と比較し、各県の現状を比べてみたい。
まず、明らかに影響の大きな外国人の延べ宿泊客数を見てみる。
運輸局の発表から該当箇所を抜粋すると、下の表・グラフのような感じ。
当然、5県とも未だに大幅なマイナス水準。
それにしても、長野県はコロナ禍前から9割減の状況なのに、コロナ禍前の福井県の2倍近い人数ということに驚き。善光寺とか白馬などのスキーとか、そういう需要だろうか。
福井と富山のマーケット規模が逆転
それでは、日本人客を含めた年間の延べ宿泊数を比較してみる。
富山はもともとのボリュームが小さいとは言え、コロナ禍前の8割水準まで回復している。
一方、福井は未だに3割超の落ち込み。これにより、コロナ禍前は福井の方が富山より宿泊マーケットが大きかったのに、現状は逆転して富山の方が上位にきている。
需要が高まっても…
2023年は5月の5類移行に伴い、足元の旅行需要は大きく回復しているとされる。
ただ、当サイトで何度か書いたが、宿泊業界はスタッフ不足が深刻で、今や清掃会社など関連業者も含めて人が足りず、思うように部屋を開けられない現状があるらしい。コロナ禍での宿泊市場の縮小に合わせ、他の業界へ移った人材が戻ってきていないからだそうだ。
宿泊業は特に労働集約的な産業なので、人手不足が持つ意味は大きい。仮に2023年はこれまでの反動で受け入れが増えても、そこできちんと訪問者に満足感を与えられなければ、今度は2024年以降に反動減……みたいな荒波にもまれる展開も予想できてしまう。