カンサプは2008年の設立で、北陸でラーメン・つけ麺の32店を展開している。岩本屋は「コク旨豚骨背脂醤油」をうたっており、店の起源は1999年に「ホームセンターみつわ江守店」(2020年に閉店)の看板の下で始めた屋台にあるらしい。
同社はFC加盟のメリットとして①ラーメンの市場規模が拡大し続けている②スープで差別化ができている③「コク旨背脂豚骨醤油」は有力な競合がいない④麺・スープはセントラルキッチンが提供するので店舗オペレーションが楽ーの4点を挙げている。
また、本部は出店や人材育成、商品提供などでサポートするという。
店舗網拡大をスピード化/「8番」FCは50年以上の歴史
FCだと、人材確保や立地探しといった地域特有の情報を基にする要素を現地のフランチャイジーに任せられるので、出店エリアをスピーディーに拡大しようとすれば、有効な方法なのかも知れない。
筆者は以前、北陸のラーメン店のFC展開で草分け的な「8番らーめん」のハチバン(金沢市)に取材した。ハチバンに関して驚きなのは、1967年に加賀市桑原町の国道8号沿いに「8番ラーメン」1号店を出し、わずか半年後にFC1号店がオープンしているところだ。
おもしろいことに、岡山県の実業家が病気で石川県内の病院に入院し、退院してすぐに食べた8番らーめんを気に入り、岡山県内でのフランチャイジーを申し出た、というエピソードがある。今も8番の店舗網において岡山県は飛び地となっている。
このように、FCなら縁もゆかりもない地域で店舗網を拡大できる。一方、デメリットとして、フランチャイジーが家族経営の零細企業で事業承継が滞るようなこともある。
その際、ハチバンでは本部の社員が独立して事業を継承することがあるそうな。
つまり、FCシステムを持続するため、本部社員を育成する必要があるという、やや逆説的な状況があるようだ。急拡大できる半面、時間がたてば継続に黄信号が灯る場合もあるということだろう。
そう考えると、競馬で逃げ馬と追い込み馬が全く違う戦術で2,000mを走ってコンマ数秒差でゴールするかのごとく、どこで苦しい思いをし、どこで少し楽になるかという選択の問題で、事業拡大に必要な努力・苦労の総量は変わらないんだなあ、と感じ入った次第。