【独自】兼六園下にラグジュアリーホテル「AO KANAZAWA」進出/「北陸会館」改修で今夏までに開業か/館内にダイニングも

【独自】兼六園下にラグジュアリーホテル「AO KANAZAWA」進出/「北陸会館」改修で今夏までに開業か/館内にダイニングも

金沢城公園の東側にある金沢市兼六元町に、スモールラグジュアリーホテル「HOTEL AO KANAZAWA」(読み仮名は「アオ」)が進出する。出店場所はもともと北陸鉄道の労組があり、現在はホテルへの改修が進んでいるビル「北陸会館」とみられる。

2024年夏までにオープンする予定で、館内には北陸初進出のレストラン「酢重正之 酢重ダイニング」が出店する。

兼六園下交差点の角地

「北陸会館」があるのは「兼六園下」交差点の北東側の角地。

建物は地下1階、地上6階建てで、延べ床面積は約1,250㎡。完成から60年弱たっており、2023年夏ごろから、宿泊施設にするべく大規模な改修工事が進んでいた。

この建物を改修し、客室16室を設けるもよう。

「HOTEL AO」は株式会社フォンス(長野県軽井沢町)が手掛けるホテルブランド。

1号店の「HOTEL AO KAMAKURA」は2021年3月に神奈川県鎌倉市にオープンした。鎌倉では蕎麦や酒を出す飲食店が入っているようだが、金沢では長野の味噌蔵として創業した「酢重正之 酢重ダイニング」が入る。「酢重」は寿司の新業態になるという情報もある。

ロケーションは抜群

現地を訪れてみて思うのはロケーションの良さ。兼六園下の交差点から金沢城公園方向を眺めると、以下の写真のようになる。

(2024年4月9日撮影)

2015年の北陸新幹線金沢開業前後(特に「後」)は金沢市内に多数のホテルが整備されたが、多くは金沢駅前もしくはオフィスが歯抜けになっていた南町周辺という立地だった。

今回の計画は角度的にギリギリ石川門が望めそうな立地で、こと観光客向けという面ではこれ以上ない場所と言えそうだ。

左が石川門、右が北陸会館。パノラマ撮影のせいで、真ん中を走る車がパリピに好まれそうなリムジンになっちゃってます

ただ、築60年近いビルということで、ハード面の古さが改修によってどこまでカバーできているかは気になる。もっとも、施工する西松建設は2021年に金沢市片町1丁目の老朽ビルをブティックホテル「香林居」に生まれ変わらせ、今も好評を得ているようなので問題はなさそう。完成したら、ぜひ内部を見てみたい。

「供給過剰」???

さて、前述の北陸新幹線開業後に林立したホテルは「良いめのビジネスホテル」ばかりだった。しかし、前述の香林居や竪町の「OMO5金沢片町 by星野リゾート」(2022年開業)にみられるように、2020年あたりを境に強い個性のあるホテルが増えてきた。

思えば筆者が地元マスコミで不動産開発を担当した2018年ごろ、やたら「ホテルは供給過剰になる」と書くよう言われ、抵抗を試みた記憶がある。今なお地元では「供給過剰になる!タイヘンダ!タイヘンダ!」という記事が量産され続けている。

「過剰」の定義によるが、少なくとも宿泊マーケットのキャパシティーは供給が需要を上回っていて当たり前。たとえば「金沢に行こう」と思い立った人が、いつ旅行サイトを見ても満室のホテルばかりだったら訪問自体を諦めるだろう。大きな受け皿があるから安心して水を注げるのだ。

宿泊キャパだけでなく、価格や雰囲気といった選択肢の幅が広く存在するからこそ、より多くの、そしてさまざまな人が訪れるようになる。

今回のように個性の強いホテルは、これまでにない客層に響き、金沢を訪れる人の層を広げてくれる可能性もある。来る人が増えれば、客室数の総計が増えても「供給過剰」にはならない。

そりゃ既存の宿泊業者からすればライバルが増えるのは嫌だろう。でも、市民からすれば何ら憂慮すべき事柄はなく、むしろ観光産業の発展に向けて歓迎すべきだと思うのだが、違うだろうか? マスコミが今後、どう報道していくのかにも注目したい。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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