2024年春、京都へ海外旅行してきました/タクシー運転手「数年前とは別世界になった」

2024年春、京都へ海外旅行してきました/タクシー運転手「数年前とは別世界になった」

2024年4月12~14日、従妹の結婚式に合わせて桜舞う京都へ行ってきた。宿泊したのは約10年ぶりなのだが、あまりに外国人旅行者(インバウンド)が多くなったことに圧倒され、タクシー運転手の言葉を借りると「数年前とは別世界になった」という感想を持った。

宿泊したのは京都駅前の和風ホテル「天然温泉 蓮花の湯 御宿 野乃 京都七条」。ドーミーインの系列で、館内は畳敷きで玄関から入ってすぐに靴を脱ぐ。9階建てで、客室は467室もある。

日本人は我が家だけ?

金曜の夜に着くと、チェックインの列を見て驚いた。中国人、韓国人、アメリカ人、中国人、フランス人、中国人…。フロントのスタッフは当たり前のように英語で応対している。

その後、風呂に入っても、食堂で夜鳴きそばを食べていても、翌日の朝食会場でも、見掛けるのは外国人の姿ばかり。構成比のイメージは

5割が中韓系、3割が欧米系、2割がその他の外国 + 我が家

といったところ。土曜の朝まで、とうとう日本人らしき宿泊客とは出くわさなかった。スタッフにも外国人の方がいたので、まるでこちらが海外旅行しているようだった(翌土曜の夜は割と日本人も多かったので、さすがに金曜は極端な構成比の夜だったのかも)。

金沢では「外国人観光客が増えたなあ」と実感するし、一部で「世界に冠たる唯一無二の……」と自画自賛する向きもあるけれど、京都は全くレベルが違う。外国人の来訪が多いから偉いわけではないが、少なくとも国際観光都市として格の違いを見せられた思いがした。

英語を話せないと仕事にならない?

タクシー運転手(70歳ほど)が「外国人を乗せる機会、10年ほど前なら月に1回ぐらいやった。ところが、今は一日に4、5人乗せるからね」と言っていた。そして、狭い車内で見知らぬ外国人とコミュニケーションをとるコツを尋ねたら、次のように教えてくれた。

「〇〇(運転手)さん、いかにも京都弁しか話せなさそうやけど、外国人が乗ってきたらどうしてるんですか?」

「そんなもん、気持ちで何とかなる。『ゴールデン・テンプル、オーイエー』言うてな!ワハハ!」


(2日半の滞在で偉そうに言うのも何だが)インバウンドが急増する中、京都の住民は変に観光客におもねらず、程よく距離をとって環境に順応しながらも自分の暮らしを送っているように見えた。

そうした住民の「来るなら歓迎する。でも、それとは別に私たちは私たち」みたいな意識はユニークな街に磨きをかけ、外部から見た魅力をつくる源泉の1つだろう(もっとも、それゆえ利害関係が衝突してさまざまな弊害が認識されているのだろうけど…)。

本物の観光都市は、観光客のために存在しているわけじゃなく、だからこそ結果として観光客が来るということなのかも知れないと感じた。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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