不動産情報サービスのCBREがまとめたオフィス空室率レポートによると、2024年1~3月の金沢マーケットの空室率は13.9%だった。前期の14.7%からは少し改善したものの、依然として空室の多い状況が続いている。
調査は全てのオフィスビルが対象ではなく、原則として延べ床面積1,000坪以上かつ新耐震基準に準拠した賃貸ビルのみが対象となっている。
上のグラフで2ケタ台に悪化したのは新しい大型ビルが完成したためとされているが、気になるのは、その影響が一過性ではなく空室率が下がらないまま1年半が経過していること。
現在、金沢駅金沢港口(西口)の通称50m道路沿いや南町近辺では複数のオフィスビルの建設が進んでいる。これからさらに「分母(=オフィス供給量)」が増え、一方で需要が高まらなければ空室はますます増える。
もちろん、需給不均衡から賃料相場が下がれば、金沢進出を目論む企業にはラッキーな話。でも、空室率が高止まりする現状に加え、北陸新幹線金沢開業から10年というのを考えると、そもそもそういう「進出を目論む企業」が今以上に増えるだろうか?という疑念も沸いてしまう。
一方、大規模で新しいビルが手頃な賃料に落ち着いたら、中小規模の古いビルから移転するような会社も出るだろう。すると、今後は後者のビルに「テナント募集」の看板が並ぶ。そうした光景は住民に対しても観光客に対しても街の停滞ぶりを印象付けかねない、と案じながら趨勢を見ている。