【独自】大阪有機化学工業、金沢工場で半導体材料の試作設備を増設/原料で世界シェアトップ/需要の高まりで新規研究も

【独自】大阪有機化学工業、金沢工場で半導体材料の試作設備を増設/原料で世界シェアトップ/需要の高まりで新規研究も

2022年3月11日

東証1部上場で、化成品や電子材料を製造する大阪有機化学工業(大阪市)は2022年3月10日までに、メイン工場である金沢工場(白山市)で半導体関連材料の新規研究を進めるとともに、試作設備を増設すると決めた。総投資額は約30億円で、2023年5月の操業開始を見込む。

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計画によると、増設部分は地上5階建てで建築面積379㎡、延べ床面積1,551㎡となる。東レエンジニアリング(東京)が設計、施工する。

今年(22年)5月に着工する予定。引き続きの需要の増加を見込んで設備の増強に踏み切ることにした。

同社は半導体を製造する際、シリコンウエハーの上に均一な膜を形成するために塗る「レジスト」の原料となる「モノマー」を作っている。

さらに詳しく言うと、皆さんご存じ、アダマンチル系モノマーやラクトン系モノマー、高品質で新規なアクリルモノマーなどを製造している。

……いや、まったく分からない。ともかく、日本経済新聞の過去の記事によると、モノマーの高付加価値品で世界シェア7割という企業だ。

実は金沢工場、1981年稼働で、既に動き出して40年を経ている。この間も半導体市場の拡大に伴って同社は設備投資を進めており、現在も45億円を投じて新規設備を建設中。こちらは23年3月に完成、同4月の操業開始を予定している。

グループ売上高は350億円、メイン工場を石川県に

さて、当たり前のように大阪有機化学工業を扱ってきたが、一般にはなじみの薄い会社だろう。地元新聞社で長々と経済担当だった筆者も、正直に言って今回初めて耳にしたので、簡単に会社を紹介。

設立は1946年12月で資本金は36億円。グループ従業員は447人(21年11月時点)。国内の生産拠点は金沢工場のほかに酒田工場(山形県遊佐町)を持っているが、メインは金沢工場となっている。

大阪有機化学工業の金沢工場=3月10日(筆者撮影)

21年11月期の連結売上高は350億2,700万円、純利益は49億9,800万円。化成品、電子材料、機能化学品の3事業があり、半導体関連材料を含む電子材料事業の売上高は、全社売上高の4割に当たる145億800万円だった。

特筆すべきは、この後。

電子材料事業の利益は34億3,000万円で、全社の営業利益の6割近くを占めている。つまり、半導体の将来が有望なのはもちろん、既に他の既存2事業と比べて利益率が高く、会社の屋台骨を支える事業であるということ。立て続けに設備投資を実行する力の入れようは、こうした背景から来ているのだろう。

もっとも、メインの生産拠点が石川県にあるとは言え、本社は大阪。純粋に「北陸発の技術」というのは違うか。ただ、工場で働いたり、研究に打ち込んだりしている人の多くは県内在住だろう。この地から世界へ、さらに新しい技術が羽ばたく可能性を、控えめになら誇っても良いかも知れない。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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