JR西金沢駅西口のJT金沢工場が閉鎖されて14年半。約11万㎡にも上る広大な工場跡地の行方が、ほぼ定まってきた。残る未利用地の一角に、富山電気ビルデイング(富山市)が金沢営業所、水産加工の宮商(金沢市)が本社を新築することになったのだ。
これにより、コロナ禍や住民の反対で暗礁に乗り上げているライブホール「Zepp」の計画以外は、ほぼ街並みが完成することになる。
関係者によると、富山電気ビルの金沢営業所は2階建てで、2023年10月から工事に入り、2024年5月に完成する見込みとなっている。延べ床面積は約1,000㎡。
富山電気ビルの金沢営業所は現在、金沢駅西にあるので、移転ということになるのだろうか。
隣接地には、今は400mほど南西にある西金沢2丁目に本社を置く宮商が本社事務所を建設する。宮商は「鰤のたたき」などを製造しており、2023年9月14日付の北國新聞朝刊によると、飲食店も設けるつもりらしい。
新旧の土地利用計画を比較
さて、この工場跡地の活用を巡る変遷は少々どころか、かなりややこしいので、筆者の乏しいITスキルを活用して説明してみる。
そもそも、工場跡地の位置は以下のGoogleマップの通り。
工場跡地の中央から北側にかけては130軒ほどの住宅地となり、北側にはVドラッグや野球場が整備されている。線路沿いの東側から南側は事業者向けのゾーンで、最も東側が「朱鷺の苑かがやき」となっている。それ以外を図にしてみた。
「スーパー→工事会社→家電量販店」という並びなど、もともと個人的には大きな疑問のある配置だったが、やはりうまくいかなかった。
ジョーシンは2018年8月に閉店した。ピアゴは経営母体のユニーがファミリーマート傘下に入るといった大きな変化があり、着工せずに放置が続いた後、とうとう計画が白紙になった。
その後、金沢ゆかりの大和ハウス工業がピアゴ計画地を一括して買い上げた。ここからバタバタと開発が進む。現状が以下の図の通りだ。
旧「ジョーシン」は石川県発祥の企業DMM.comが建物を改修し、周辺の事業所を集約して金沢事業所として活用している。
大和ハウスの分譲マンション、賃貸マンションも完成した。賃貸マンション1階には歯科医院、美容室、コインランドリーが入っている。
Zepp計画は「凍結」に
今回話題に上った2社以外の場所は、およそライブホール「Zepp」の建設予定地となっている。ただ、何ら説明なしに計画が明るみに出たため、地元町会の大反対に遭い、コロナ禍で人が集まるイベントが激減したことから、計画が棚上げになっている。
9月14日付の北國新聞によると、Zepp計画は「凍結」らしい。かなり強めの言葉を使っている。
こうやって見ると、工場跡地の多くは住宅地となり、あとは事業所と集合住宅になることに決まった。不特定多数が往来するというような意味での繁華性の低い性格が定まってきた土地に、今さらZeppを建設しても、果たしてうまくいくのだろうか。
むしろ、日銀の現金沢支店とか金沢都ホテルの跡地の方が、適した立地のような気がするけど…。工場跡地活用の全体像が見えてきただけに、ライブホールの異質性が際立ってきたように思う。いっそ、マンションか事業所の用地にすれば良いのに。