※2023年5月10日に赤字部分を追記しました
「ホテルルートイン」を展開するルートイングループが2023年度以降、富山県の砺波、射水に相次いでホテルを設ける。
ホームページで公表した今後のホテル開業計画によると、250室の「ホテルルートイン射水」、200室の「ホテルルートイン砺波インター」を新たに設ける方向になっている。詳細な開業時期や建物の概要は、追って公表するとみられる。
【追記】2023年5月10日付の北日本新聞によると、ホテルルートイン射水は射水市本開発の土地区画整理事業区域にできる。「ケーズデンキ」「ニトリ」「ドン・キホーテ」「大阪屋ショップ」とともに出店する。同所には石友ホーム(高岡市)の本社も移転してくるらしい。
商業エリアは2024年春のオープンがめどで、ホテルは2025年度以降のオープンを予定しているらしい。
ルートイングループと言えば、黒部市宇奈月温泉の旧宇奈月国際ホテルを、コロナ禍で業績不振に陥っている立山黒部貫光(富山市)から取得したグループ。このホテルは2022年1月に「グランヴィリオホテル宇奈月温泉」(100室)としてリニューアルオープンを予定している。
同グループが富山県内で営業しているホテルは既に5つある。そのため、砺波、射水が予定通りに開業すると、富山県内だけで8つのホテルを経営することになる。軒数、客室数とも、石川県発祥のアパグループと双璧をなすことになりそうだ。
福井でも計画
同グループはまた、福井県内で22年10月にホテルルートイン高浜(200室)、23年度以降にホテルルートイン坂井(200室) の開業を予定している。福井県内にも現状で5つあるので、全て完成すれば7つに増える。
一方、同じく現時点で5つを展開する石川県は、特に新規出店が予定されていないようだ。石川県内では金沢市内を中心に、北陸新幹線が開業した2015年春から、コロナ禍で旅行市場が縮小するまでの間、ホテルが開発ラッシュとなっており、足元では廃業や撤退の例が増えている。
こうした状況から、同グループは石川県内の市況について様子を見ており、出店を抑制しているとみられる。
コロナでも売り上げ70%確保
ところで、コロナ禍で宿泊業界は大きなダメージを受けたはず。この状況下で、同グループが新設計画をどんどん増やすのはどういうわけだろう。
同社ホームぺージによると、2021年3月期のグループ売上高は936億円で、前期と比べて30%の減少だった。売上高が30%減と言うと、平時ならかなり大きな減少率ではあるが、コロナ禍の観光・宿泊業界ではそれほど驚くべき数字でもない。例えば前述の立山黒部貫光は売上高が81%減だったことから考えると、善戦している。
ルートイングループの事業を見てみると、ゴルフ場の経営やブライダル関連、リゾート系ホテルなど、コロナ禍で大きく売り上げが減少しただろう事業が散見される。
コロナ禍では出張が自粛され、駅前などのビジネスホテルの需要も落ちているはずだから、それでも売り上げが3割減にとどまったというのは、もしかしたら高速道路のインターチェンジ近くにあるような、郊外型のホテルが寄与したということだろうか。
いずれにせよ、積極的な出店戦略からは、競合相手の体力が弱るアフターコロナを見据え、逆張り的に事業を拡大しようとしている姿勢が見えてくる。