大和ハウス工業は2022年6月7日、富山駅北に7階建ての複合ビル「Dタワー富山(仮称)」を開発すると発表した。完成は2024年3月12日で、床面積はテナントビルとして富山県内最大級となる。
開発予定地は富山市牛島町109-3で、富山市が2019年7月に募集した「中規模ホール整備官民連携事業」の余剰地で、オークス・カナルパークホテルの隣接地に建設する。
敷地面積は4,000㎡で、ビルは建築面積が2,793㎡、延べ床面積が1万6,829㎡となる。建物の高さは47.21mで、1階に飲食店と物販店が計5店、2~7階にオフィスが入る。
オフィスはテナント企業の要望に合わせて90㎡~1,800㎡の区画に50社ほどが入居できる。2階には、働き方に合わせて最適なオフィス環境を整えるため、休憩スペースや会議室、自席以外でPC作業や書類のチェックなどができる「タッチダウンオフィス」を設ける。
駐車場は150台を収容する。総事業費は約80億円。複合ビルはもともと上層階をホテルにする計画だったが、コロナ禍の宿泊需要減退を受け、計画を見直したようだ。
老朽化進む富山市内のオフィス
大和ハウス工業の発表資料によると、富山市内では2001年から2020年まで新規のテナントビル供給がなかった。市場では築30年以上のビルが7割を占め、設備の老朽化が進んでいる。
確かに、筆者は新聞記者として富山市に赴任していた頃、金沢市内で新しいオフィスビルが次々と完成するのを脇目に見ながら、動きの鈍い富山のオフィスビル市場に、もどかしさを感じていた。
富山駅周辺は富山県内で4番目に高い構造物であるオフィスビル「タワー111」(23階建て120m。県内1、2位は発電所の煙突、3位は新湊大橋)はあるが、竣工は1994年で新しくはない。
富山市に赴任当時、全国展開するベンチャー企業が富山市にオフィスを設けたと聞き、どこにあるのか尋ねたことがある。すると、1936年竣工の富山電気ビル(北陸電力の旧本店)の名前が挙がり、むしろ「ベンチャー企業×富山大空襲をくぐり抜けた建物」の組み合わせに新鮮味すら感じた。
Dタワー富山と同じ富山駅北では、北陸銀行と同行の持ち株会社、ほくほくフィナンシャルグループ(富山市)が新たなオフィスビルを建て、2026年度にそれぞれ本店と本社を移転する。
そう考えると、50社のオフィスが入る新たなビルが供給されれば、富山市内のオフィス市場を大きく変える可能性も秘めているのではないか。コロナ禍でオフィス市況自体の先行きは見通しにくいが、Dタワー富山の完成で、周辺の市場がどうなるのか、外野としては楽しみだ。
金沢ビーンズに似てない???
ところで、文句をつける意図はないという前提で、デザインセンスも持ち合わせぬ身で、あえて言う。
Dタワー富山の外観イメージが明文堂プランナー(富山県朝日町)が石川県庁近くに展開する書店「金沢ビーンズ」に似ている、と感じるのは筆者だけだろうか。
う~ん、脳内の第一印象は似ていたはずなのに、いざ並べてみると、あんまり似てないかも。