JR西日本が定期的に発表している北陸新幹線の利用者数。コロナ禍に入ってからは利用が激減し、前年同期比8割減、7割減といった数字が出てくる。
しかも。コロナ禍前には長野市にあるJR東日本の車両基地が、台風に伴う千曲川の氾濫で水没し、全編成の3分の1が使えなくなり、運行本数を絞るという憂き目にも遭っている。
開業直後が好調過ぎた反動なのか、ここ2年ほどは何だか踏んだり蹴ったりである。
さて、この「利用者数」、実は北陸新幹線に乗った人とイコールではないことはご存じだろうか。
いや、JR西が数字を誤魔化しているとか、テキトーな数字を公表している、と言うわけではない。と言うか、そんなはずはない。
カウントする場所は「上越妙高―糸魚川」
実はJR西が発表する利用者数は「上越妙高駅と糸魚川駅の間を通過した人数」のこと。つまり、金沢駅から東京駅に向かえば、その区間を通過するので1人と数えられ、帰路にまた1人とカウントされる。
ただ、北陸新幹線は3種類ある。最速の「かがやき」、各駅停車の「はくたか」、金沢―富山を往復する「つるぎ」だ。と言うことは、JR西の発表には「つるぎ」の全利用者、「かがやき」「はくたか」で北陸エリア内を行き来した人、あるいは関東エリア内を行き来した人は含まれない。
新幹線を使って隣県へ通勤している人はそれなりにいるし、例えば電力会社や銀行など、北陸エリア全域でビジネスを展開している会社の社員は、日常的に新幹線を使う。それらが入っていないのは、なぜなのか。
昔、JR西の広報担当者に尋ねたら、こう言われた。すなわち「新幹線は性質上、広域で動く人を運ぶという点で特に威力を発揮する。そういう意味で、北陸新幹線で北陸に入ってくる人数、北陸から出る人数を調べている」。
なるほど。まあ、東京~上越妙高がJR東の管轄で、糸魚川~金沢がJR西の管轄だから、という事情もありそうである。
とは言え、このコロナ禍は特殊な状況である。もしデータがあるのなら、こうした環境下で新幹線がどういう使われ方をしているのかを知るため、広域の利用者数とは別に、エリア内での利用者数の増減なんかも出してもらえると、もしかしたら興味深いことが分かるかもしれないのに、と思っている。
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