※お急ぎの方は後半の「≪地図あり≫オーナーや運営会社の交代が相次ぐ」の見出し以降だけでも読んでいただけると幸いです。
金沢市上堤町で2022年10月に営業を終えたデザイナーズホテル「eph(エフ) KANAZAWA」が、運営会社の交代と改装を経た2023年1月中旬に「Minn金沢」として再オープンすることが分かった。
「Minn」はSQUEEZEというホテル運営会社によるブランドで、同社ホームページによると、都内を中心に大阪府、長野県を含めて計14棟を展開している。「家族・グループみんなで過ごせるアパートメントホテル」らしい。
もともとはオフィスビル
Minn金沢を整備する建物は9階建てで、もともとオフィスビルだった建物が宿泊施設に改装されている。
2020年8月、エイジェーインターブリッジ(東京)がeph KANAZAWAとして運営を始めたが、22年10月末に営業を終了していた。
オフィス街からホテル街へ
北陸新幹線が金沢まで延伸した2015年3月以降、金沢市の旧市街地では宿泊施設の開発がラッシュとなった。
主な舞台は今回出てきた上堤町をはじめとしたオフィス街。昔は銀行、信用金庫、保険会社、証券会社などの社名を冠したビルが並んでいたが、建て替えや改装により、すっかりと変貌した。
上の写真はたまたまホテルにコンバージョンされたビルの多いエリアを切り取ったので、必ずしも街全体の実情をそのまま映し出しているわけではない。ただ、このように今やオフィスよりも宿泊施設が多くなって「ホテル街」と化した一角もあることが分かると思う。
背景には街の重心が金沢駅周辺に移ったことがある。オフィスが雪崩をうって金沢駅周辺に流出し、空きビル・空きテナント、ビル解体後の駐車場が増加した。
そんな中、観光客に人気の近江町市場、兼六園、金沢城公園などにアクセス良好な立地が見直され、ホテル化が進んだというわけだ。
≪地図あり≫オーナーや運営会社の交代が相次ぐ
ところが、この新型コロナウイルス禍である。感染症の拡大ととも宿泊市場は冷え込み、オーナーや運営会社の交代例が増えた。
ここで、武蔵から片町にかけての主な宿泊施設を、2015年の北陸新幹線開業後に新築されたり、オーナーや運営会社が交代したりした施設を赤いマーカー、従来と変わっていない施設を青いマーカーで示してみた(抜け漏れ、ご容赦を)。
こうして見ると、赤いマーカーの多さを実感できる。
大きなところでは、200室あった「アゴーラ金沢」が運営会社交代で「ホテルアマネク金沢」になり、ANAホリデイ・イン金沢スカイのオーナーは名古屋鉄道から茨城県のスーパー「ヒーロー」に代わった。
【追記】2023年6月23日18時にサイトリ細胞研究所に取材したら「1年前に当時の担当者がホテル金沢を売却すると説明したのは誤りだった。現状はホテルを所有し続ける方針」と訂正を受けた。ただ、今から逃げるように記事を消すのも変なので、こうして残しておく
また、今回のエリアからは外れているが、金沢駅前のホテル金沢を経営するサイトリ細胞研究所(東京)も、あらためて保有ホテルの売却を進める考えを示している。
新幹線開業後に大きく様変わりした金沢のホテル市場は、長引くコロナ禍により、さらに変容を続けている。