総務省は2022年分の家計調査の結果を発表した。
都道府県庁所在都市と政令指定都市の計52都市を対象に、項目ごとの支出金額をまとめる調査で、よくマスコミで「ギョーザ購入金額の日本一は?」と取り上げられる元データとなる。
今回は「総世帯」に関する調査にじっくりと目を通し、北陸3県がトップ3・ワースト3に入った項目のうち、筆者が特徴的と感じたものを抽出した。なお、冷蔵庫など日常購入しない物品は回答者の抽出方法によるブレが大きいと思われるため無視した。
※非食品編は下のリンクから
目次
食料全般の支出は金沢市が日本一
まず、食料全般の支出金額では、金沢市が1位となった。年間92万円強ということは月7万7,000円ほど。東京都区部より高いのは驚きである。もっとも、1世帯当たりの人数は東京よりも金沢の方が多そうだが。
富山市は6位、福井市は29位だった。
もち、1、2、3位を独占
さすがは米騒動発祥の地である。福井市、金沢市も上位に入っている。
もちは1~3位を独占。筆者はあまり好きではない。だから、あまり身の回りに「もち」がないので、個人的には意外な結果だった。
米、パン、麺と満遍なくランクインした。
魚介類、北陸勢は上位の項目が多い
大方の予想通り、北陸勢は全国的に見て魚介類への支出金額が大きい。
富山市民のぶりへの支出金額は全国平均の2.5倍という高さである。
かにに至っては、福井市は2位の松江市の2倍、全国平均の4倍以上と圧倒的な高水準となっている。
多くの項目で全国上位を占めているが、同じ魚介類でも、貝類では全国上位に顔を出さない。
何なら「かき(貝)」では福井市が下位に入った。
加工食品・肉類、富山市、こんぶで1位
富山市はこんぶの消費量が多いことで知られる。数年前に1位から陥落した際、富山県の経済団体トップが会合のあいさつで悔しさをにじませていた記憶がある。
でも、こうして並べてみると、堺市にしろ、福井市にしろ「こんぶ」「こんぶつくだ煮」の両方で上位に入っており、実は日本一の「こんぶ消費都市」は堺市や福井市と言えるのかも知れない。
魚介類と比べると、どうしても寂しいのが、肉類や加工食品だった。
じゃがいも、北陸勢がワンツーフィニッシュ
続いて、野菜はどうだろう。
じゃがいもって北海道のイメージが強いが、それは生産地としての話で、消費地として強いのは北陸(そして隣の新潟県)だという意外な事実が分かった。
果物は全国上位にも下位にもほとんど入ってこない。唯一、オレンジだけは別で、富山市が日本一となっている。
揚げ物は福井「一強体制」/北陸が独占の項目も
例ねん、目を見張るのが揚げ物セクション。
福井市が強すぎる。ただ、その影に隠れがちだが、実は富山市も全国上位に食い込んでいる。そんな中、何と北陸3県がトップ3を独占する揚げ物がある。
北陸に住んでいて、油揚げをたくさん買っている自覚はないが…。毎月300円ぐらいか。皆さんはどうだろう?
金沢市民はケチャップ・マヨネーズ好き?
次に調味料系を見てみよう。
金沢市は和食文化が強いイメージを勝手に持っていたけど、ケチャップとかマヨネーズとかカレールウ(調味料?)とか、洋風なもので上位に。富山市は2021年分調査でも、ふりかけで日本一だったはず。
手作り志向は強いものの…
家計調査はいわゆる素材に加えて惣菜や調味料も調べる対象となっている。
見ていて気付くのが、北陸は素材で上位に入るケースが多く、揚げ物を除き、惣菜ではあまり上位に入ってこない。そうした「手作り志向」は次の結果に現れている。
あまり出来合いのものは買わないということか。
ただ、面白いのは、北陸の住民は全国的に見てあまり弁当を買わないにもかかわらず、次の項目では上位に入る。
ちなみに、北陸3県は外食に関する項目でも上位に出てこないのだが、弁当と同じく、すしだけは別のようだ。
奈良市、大津市、さいたま市という、いわゆる「海なし県」の都市と、海の存在感が極めて大きな北陸の都市が一緒にランクインしている点が興味深い。
そして、確かに弁当は買わないのだろうが、意外な項目で上位に入っている。
ワイン、清酒で全国トップ
スイーツは金沢市が4冠
最後にスイーツを見てみる。ここは金沢市が強さを見せる。
まさかの4冠である。
だが、実は富山市や福井市も上位に入る項目がある。
㊦では、非食品のランキングを紹介するとともに、各項目を見て感じたことを書こうと思う。