富山名物の「七越焼」を作る七越(富山市)が、豆菓子などを製造する栃木屋(広島市)の傘下に入った。北陸で地域密着のビジネスを行ってきた七越に対し、栃木屋は大都市圏の百貨店などにも販路を持っており、今後、七越焼の全国展開も視野に入っているようだ。
(なぜか小豆ネタが続いたけど、たまたまです)
七越焼は全国的には「大判焼」や「今川焼」のようなスイーツ(富山の友人に言わせると「今川焼とは明確に違う」らしいが…)。写真の粒あんに加え、白あんやカスタード、2カ月ごとに変わる期間限定の味などからなる。1個120円。
富山市内に4店があり、七越焼やパック詰めの粒あんは、同じく富山が地盤のスーパーのアルビス、大阪屋ショップでも購入できる。
年間100万個を売り上げ
報道によると、七越焼は年間100万個売れるらしい。
富山名物と言いつつ、観光客への知名度は低いとみられ、多くは地元住民による消費だろう。富山県の人口は100万人強なので、1人1個は買っている計算になる。石川県で言うと、何に当たるだろう。中田屋の「きんつば」あたりか。
「乗っ取り」ではないM&A
さて、その七越も杉田正治社長が80歳近くになり、後継者を探す中で、社外への事業承継を考えるようになり、遠く広島から買い手が現れたよう。優良な経営資源を持つ中小企業で多いパターンだ。
一昔前はM&Aと言うと「乗っ取り」という悪いイメージもあったが、最近は事業承継の一環として、プラスに解釈される例が増えているように思う。
七越の売り上げは1億円台と大きくないが、地域で確固たる顧客層を形成している。最近はこういう「地域ブランド」的な商品が受ける面があり、スーパーに行くと、もともと地元でしか売っていなかったような全国の地ビールやラーメン、菓子類などを多く見掛ける。七越焼も、いずれ他の地域で流通するようになるのだろうか。
栃木屋は売り上げが2億円台で、豆やナッツを使った菓子を製造している。実店舗は持っておらず、この辺りが実店舗とスーパーで売ってきた七越のビジネスモデルと相互補完関係にありそうだ。今後も店舗は維持し、場合によっては県外での「七越」新規出店も見据えているという。
これからの展開が楽しみである。