魚津の家系ラーメン店「はじめ家」/本格派なのに家族連れにも優しい名店

魚津の家系ラーメン店「はじめ家」/本格派なのに家族連れにも優しい名店

2022年2月5日

富山市内に足掛け6年勤務している中、密かに通い続けたラーメン店があった。それが魚津市にある横浜家系ラーメンの店「はじめ家」。未経験の方は富山県東部に行った際は、ぜひ足を運んでほしい。

以下、この店が好きすぎて長文になってしまったが、良ければお付き合いを。

店主は横浜の人気店「吉村家」で修業した人で、2001年に創業。外観には写真のように「家系総本山吉村家直系」と誇らしげに記されている。

営業時間は11~22時。数年前まで20席ほどだったカウンターは今、30席ほどに増設されている。さらに店舗奥の小上がりに2テーブル(詳しくは後述)。席数を増やしたにもかかわらず、休日はもちろん、平日でも11時台から順番待ちの列ができるほどの人気ぶりを維持している。

ラーメン食べたさに仕事のスケジュール調整

さて、筆者は食の評論家ではないので、下手な食レポは簡潔に済ませよう。

まず、こってりと濃厚な豚骨醤油のスープが中太麺によく絡む。ノーマルの具材は青菜、海苔、チャーシュー。家系によくあるように、麺の硬さ、味の濃さ、脂の多さが選べる(筆者は麺がかため、脂が多め)。

トッピングの味付け卵は運が良ければ「燻製味付け卵」を選べる場合がある。ご飯は「チャーシュー」「白ご飯」「ネギ海苔」「卵」の4種類が同じ値段となる。

海苔が非常に硬くて(しっかりしていて?)美味しい。

卓上にはラーメン酢(酢にニンニクを漬けたもの?)、ゴマ、ニンニク、豆板醤、ショウガなどが置かれている。

筆者は富山市内に赴任していた当時、このラーメンを食べたいために、わざとランチタイム前後に富山県東部で仕事の予定を入れ、片道30㎞の道のりを喜んで往復した。

はじめ家は原則として月曜が定休日。それなので、当時はアポ入れ時に相手先から「来週の月曜はどうですか?」と言われようものなら、即座に「いや~、ちょうど月曜は他の予定があるんですよね~」と答えた(当時の相手の方々、スミマセン)。それぐらい、貪欲に訪問の機会を探っていた。

そんな店。

人口4万人ちょっとの魚津市にあって、この繁盛ぶりなら、2号店の誘いなんかもあったのではないかと察するが、今のところ2号店を出す雰囲気はなさそう。

店内には遠方の人はもちろん、地元住民らしき人の姿も多く見られる。店主らが高校生風の子どもたちに荒っぽく親しげな口調で話しているあたり、変にビジネスを拡大せず地元に密着していようという姿勢が垣間見え、好感を持っている。


「お子様連れ専用席」という有り難さ

さらに筆者がこの店を特に気に入るきっかけになったのが、繁盛店ではあまり見掛けない「お子様連れ専用席」の存在だ。

前述の小上がりには、家族4、5人が座れるテーブルが2つある。これは店内が大人の個人客やカップルで混雑していても、小さな子どもを連れた家族を迎え入れるために空けておく席となっている。

小上がりのテーブルにある案内。カウンター席の客に周知するように置かれている

子どもが生まれて分かるのは、子どもがいて初めて得られる体験や感情がある半面、それまで大人だけなら当たり前にできた行為が制限されるということ。美味しい飲食店の中にはカウンターのみの店も多く、子連れの外食時は選択肢にすら入らない。

はじめ家は、こうした悩みに寄り添う。

しかも、頑張って食べた子どもには、ペコちゃんの飴をくれる。

子どもが幼いと、大人2人・子ども2人の家族はラーメンを2杯しか注文しない。しかも、子どもが食べるスピードは遅い。小上がりを無くしてカウンター席にすれば、混雑時は大人の客をガンガン入れ、回転率も売り上げも向上するのは間違いないが、そうはしないのだ。

筆者が新婚時に初めて訪問してから8年。金沢市内へ転勤になっても、長男が生まれても、さらに長女が生まれてもなお訪問し続けられたのは、この頑なさのおかげである。

たかがラーメン、されどラーメン。無愛想で職人気質の人たちが切り盛りする店は、体だけでなく心も温めてくれる。

 

〒937-0041 富山県魚津市吉島67-1
電話 0765(23)1789
定休 月曜(月曜が祝日なら火曜)

※この記事は書くよう頼まれたわけではなく、あまりに好きすぎるため自主的に書きました。


国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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