円安の進行が止まらない。
19日は1ドル=127円台に乗せ、20年ぶりの水準になっている。2021年10月ごろは1ドル=110円前後だったので、半年間で円の価値は13%ほど下がったことになる(円安とは、これまで1万円出せば買えた外国製品が、モノは同じなのに為替変動により1万2,000円払わないといけなくなるような状態)。
すると、よくこう言う人が出てくる。
「日本に住んでるから。そもそも、外国なんて行かないし」
あなたが食べている牛肉はオーストラリア産じゃない?もしも国産牛だとしても、その牛が食べるエサも全て国産?ガソリンも石炭も、基本は輸入してるよ?そのパンの原料の小麦はどこから来る?
為替の影響を避けて生きられる人は現代にいない。
「いや、自分はコツコツ預金してるから大丈夫。安心、安心」
何かをコツコツ継続する姿勢は尊い。でも、国際的に見て円の価値が半年間で13%減ったということは、1,000万円を預金し、金利0.001%で1万円の利子を受け取っている間に、元本が870万円相当に減価したようなもの。
備えるべきリスクは どっち?
銀行が潰れても1,000万円までの預金は保護されるので、そういう意味では安心だが、「銀行が潰れる」という国内で数年、数十年に1回あるかないかのことに備え、毎日絶えず動き続ける為替リスクに備えないというのは、どういう了見なのだろう。
もちろん、銀行での円預金もゼロにする必要は全くない。為替にしろ銀行の破綻にしろ、自分がどれだけ気を付けても仕方のない事柄を前に、肝心なのは資産を分散させること。
筆者は金融資産の3分の1を海外株式やドルで持っている。おかげで、最近は保有銘柄の株価がさほど上がらなくても、円安の影響によって円換算の資産が増えている。
保有する日本株の中には円安でメリットを受けやすい企業の銘柄もあるので、仮に円預金が減価しても、それらが補ってくれる仕組みには一応してある。
最後に、よく知られた相場の格言を。
「卵は1つのカゴに盛るな」
たまたま転んだら、ぜんぶ割れちゃうからね。