クスリのアオキHD、食品の売上構成比が5割に迫る/進むドラッグストアの食品スーパー化/22年11月中間期決算

クスリのアオキHD、食品の売上構成比が5割に迫る/進むドラッグストアの食品スーパー化/22年11月中間期決算

2022年12月28日

クスリのアオキホールディングス(白山市)が2022年12月28日に発表した22年11月中間期の決算短信によると、ジャンルごとの売上構成比は食品を示す「フード」が全体の43.7%(前年同期41.8%)となり、5割超えが見えてきた。

フード以外は低下傾向

10年前の2012年11月中間期の売上構成比と比較してみる(当時は現在でいう「ライフ」「フード」を合わせて「ライフ」と称していた)。

22年11月中間12年11月中間
ヘルス(薬) 10.5% 16.4%
ビューティー(化粧品) 14.2% 21.6%
ライフ(生活用品) 20.3% 51.9%
フード(食品) 43.7%
調剤薬局 11.3% 10.1%

フードを除く「ライフ」の構成比は低下傾向にあることから、10年前時点でフードの構成比は30%前後だったと見込まれる。こうして見ると、フード以外は軒並み構成比が下がっており、ドラッグストアの食品スーパー化が進んでいることが分かる。

ドラッグストアの売り上げの半分が食品に由来するとなると、例えば、経済産業省による業種ごとの売上高まとめでは「スーパー」「ドラッグストア」を別々の市場区分ではなく、同じ業種として扱う必要も出てきているのかも知れない。

通期は最高益狙えるも、押し上げ要因は「補助金収入」

22年11月中間期の決算は増収増益で、経常、純利益は大幅に増えた。順調にいけば通期で過去最高益を狙えるが、その内容を見ると、一過性の利益によるところも大きい。

売上高 営業利益 経常利益 純利益
2022年11月中間実績 184,281 8,278 11,255 7,924
2023年5月期の予想 360,000 15,200 16,000 10,800
通期の過去最高実績 328,335 16,619 17,344 12,416
単位は百万円

上の表のように、通期計画に対する中間期時点の進捗率は経常利益が70.3%、純利益が73.3%の水準で、計画達成は確実とみられる。上期の各利益は過去最高実績と比べても進捗率は50%を超えている。

22年11月中間期の決算の中身を見ると、店舗数は前年同期比11.1%増の867店になる中、売上高は14.3%増なので、1店当たりの売上高の改善ぶりは店舗の増加ペースを上回っている。

補助金収入が前年同期並みだと…

大きく増えた経常、純利益は「補助金収入」によって底上げされている面がある。営業外収益は前年同期から27億円も増えているのだが、これは主に補助金収入が200万円から26億8,600万円に増えたことによる。

この補助金収入が前年同期並みだったと仮定すると、この中間期の業績は前年同期比で1~2割程度の増益となり、通期計画に対する進捗率は50%ちょっとに落ち着く。

それでも決して悪いわけではないが、過去最高益に達するかどうかは微妙なところ。投資家にとっては、この辺りをどう評価するかがポイントになりそうだ。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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