配置薬を製造販売する廣貫堂(富山市)が、国に認められていない方法で医薬品を作っていたとして、10品目の自主回収を始めた。富山県内では今年、ジェネリック国内最大手級の日医工(富山市)、北日本製薬(上市町)が回収の後に行政処分を受けている。
廣貫堂の公表資料によると、回収対象の10品目は「胃腸反魂丹」「浄血丸」「顆粒ネオ眞治 S」「広貫堂複方熊膽丸」「廣貫堂ネオ眞治 S」「廣貫堂胃腸薬細粒」「散剤せきどめ」「チュアマシン A」「歯痛・頭痛ヒロリン」「パナワン」。
国が認める製造販売承認書に反した製造方法は何通りか確認されている。①承認書と異なる添加物を使用したケース②承認書と異なる分量を混ぜたケース③一定期間が経過後の状況を見る試験で承認規格を外れたケース、である。
今後、富山県が悪質性などを判断し、行政処分(一定期間の操業停止など)に踏み込む可能性もある。
日医工は今も250品目がトラブル中
日医工の行政処分時は相次ぐ自主回収や行政処分による工場の操業停止で、全国の薬局に混乱が生じた。現在も供給停止や遅延の品目がある。
日本ジェネリック製薬教会のホームページによると、日医工の製品で供給停止もしくは遅延が起こっているのは250品目もある。
同社は近年、多額の自主回収関連費用を計上してきた。そこに供給減やブランド力の低下による売り上げ減が加わる。同社の業績は意外に長く低迷する可能性もある。
売り上げ規模で言えば、廣貫堂は日医工の10分の1程度だが、配置薬は各家庭に置かれており、ダイレクトに一般人に届いている。例えば日医工なら各薬局に通達すればスムーズに回収できそうだが、各家庭に分散している配置薬では、そうはいかないだろう。
日医工は「ジェネリック」という新興的な医薬品を作っていた。日本人としては「安かろう悪かろう」というイメージに加えて「よく考えたら得体の知れないもの」のような感覚もあり、許せないながらも納得された側面もあると思う。一方、配置薬は藩政期以来の伝統を持つ。名前に聞き覚えのある薬もあるため、消費者が「裏切られた」と考えた度合いは大きいのではないか。
これ以上「薬の富山」のブランドが貶められないことを望む。