日医工、2022年9月末時点で債務超過に転落/多額の減損損失を計上で/金額は追って公表

日医工、2022年9月末時点で債務超過に転落/多額の減損損失を計上で/金額は追って公表

ジェネリック医薬品(後発薬)メーカーの日医工(富山市)は2022年11月8日、22年9月末時点の財務状況について「債務超過の状態となることが見込まれる」と発表した。米国での事業展望を踏まえ、多額の減損損失を計上するため。減損損失の金額は11月14日に公表する。

日医工は一連の不適切な医薬品製造に対する行政処分を受け、製造方法などを見直す傍ら、私的整理の一種「事業再生ADR手続き」を進めている。また、米国子会社においては赤字状態が続き、財務状況が悪化している。

日医工は国際会計基準(IFRS)を採用しており、資料には日本国内の会計基準に出てこない用語が出てくる。

日医工のIR資料によると、行政処分直後の2021年3月末時点の同社は、日本の会計基準でいう「自己資本比率」に類似した「親会社所有者帰属持分比率」が30.6%だった。

22年6月末時点で負債2,537億円、資本124億円

ところが、上記のような経営状況が続く中、製品化できない原材料の減損などを重ね、財務状況は悪化。2022年6月末時点の財務状況は負債2,537億円(流動、非流動の合計)に対し、資本がわずか124億円になっていた。

非支配持分の2億円を差し引いた「親会社の所有者に帰属する持分」は122億円。その比率は4.6%に低下していた。

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日医工は11月14日に2022年9月中間期の決算を発表する。それに合わせて減損損失の金額を公表するべき準備を進めているという。

20年3月期に過去最高の売り上げ1,900億円を達成

日医工は2020年3月期の売上高が1,900億円で過去最高だった。

ところが、相次ぐ製品の自主回収や製造中止により、その後、業績は悪化した。売上高は21年3月期が1,882億円、22年3月期が1,790億円に減った。

20年3月期に51億円の黒字だった純損益は、21年3月期に41億円の赤字に。そして、22年3月期には1,049億円という莫大な赤字を計上するに至っている。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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