2021年以来、医薬品の自主回収を続けている配置薬メーカーの廣貫堂(富山市)が発表した2022年3月期の連結決算は、営業、経常、最終赤字に転落した。業績の悪化を受け、株主総会では、資本金を税制上「中小法人」として扱われるメリットがある1億円に減らすことを決めた。
同社の公表資料によると、連結の売上高は前期比6.4%(11億107万円)減の159億7,128万円だった。各損益は次の通り。
営業損益 985万円の黒字 → 4億1,128万円の赤字
経常損益 2,929万円の黒字 → 4億1,128万円の赤字
純損益 2,048万円の黒字 → 16億2,872万円の赤字
最終赤字が16億円超とやたら膨らんでいるのは、製品回収関連損失、製品回収関連損失引当金繰入、リテール事業撤退関連費用額の合計で11億6,769万円もの特別損失を計上したため。
※リテール関連事業撤退の過去記事は以下のリンクから
資本金は現在、21億4,500万円だが、8月30日に20億4,500万円を減額して1億円とする。
短期借り入れが24億円増加、商品・製品が減少
廣貫堂の連結貸借対照表を見ると、赤字計上に伴って純資産は前期末より18億円ほど少ない50億6,803万円となった。負債欄は短期借入金が24億円ほど増えて90億4,890万円になった。
他方で資産欄は「商品・製品」「仕掛品」つまり、製造したものと製造途中のものが大きく減った。自主回収の影響だろうか。他に目立つのは未完成の建物などに対して手付として払った金額などを指す「建設仮勘定」が29億円ほど増えて34億円超になっていることだろうか。
2022年3月末時点の利益剰余金は12億円超、資本剰余金は18億円超で、減資分の20億円もある。それゆえ、会社がすぐにどうこうなる最悪の局面は考えにくいが、今後は当局による行政処分もあると見込まれている。先行する日医工(富山市)の例を見ても分かるが、厳しい経営が長く続くのは避けられないだろう。