北陸電力、第4四半期は赤字縮小・黒字化も?/燃料高騰に一服感か/22年4~12月期決算を発表

北陸電力、第4四半期は赤字縮小・黒字化も?/燃料高騰に一服感か/22年4~12月期決算を発表

筆者は北陸電力株を少し保有しており、記事は見方が偏っている可能性があります。そして、以下の記述は公表資料から得た私見です

北陸電力が2023年1月30日に発表した資料によると、23年3月期の第4四半期(1~3月期)は北電の経営状況が悪化する主因だった燃料価格の高騰が一服し、赤字縮小あるいは黒字転換する兆候が出てきたように思う。

北電が発表した22年4~12月期(第3四半期累計期間)の決算は、以下の通り。

営業収益(=売上)経常損益純損益
22年4~12月期5,801▲749▲757
23年3月期予想8,500▲1,000▲1,000
単位は億円。▲はマイナスで、赤字(損失)という意味

22年4~12月期は経常損失が749億円で、21年4~12月期の48億円から701億円拡大した。このうち、石炭価格の高騰影響などが680億円分の損失拡大要因となった。こうした燃料価格の急上昇が電気料金の値上げ申請につながっている。

北電は23年3月期の業績予想を据え置いた。そのまま計算すると、第4四半期は営業収益が2,699億円で、営業損失が328億円、経常損失が251億円、純損失が143億円の見込みとなる。

事業環境が反転?

これまでの局面では、燃料価格の高騰分を電気料金に反映させるに当たり、仕組み上、反映できる時期が後ろにずれるため、北電が高騰分をかぶるような格好になり、損益状況が悪化していた。

ところが、である。北電が公表した説明資料の13ページ(11スライド目)を見る限り、22年末に構図が反転している。つまり、燃料価格は落ち着き始めたのに、それより前の高い燃料価格を基にした高めの料金を受け取れる環境に変わったように見える。

これは電力会社が暴利をむさぼっているということではなく、長期的に見ればプラスとマイナスが打ち消し合うはず。ただ、時期を細かく区切ると、プラス影響が濃い時期とマイナス影響が濃い時期に分けられ、今は後者から前者に転換した可能性がある。

もっとも、先のことは分からない。再びマイナス影響が大きくなるかも知れないことには注意したい。

1ドル=140円を想定

また、今期の北電の想定為替レートは1ドル=140円程度となっている。

実際の為替は9~11月に1ドル=140円を突破したものの、4~12月でならせば136円。今はジリジリと円高方向に動きながら130円ぐらい。燃料価格の高騰に一服感が出る中で円高が進めば、いろいろな意味で「差益」のようなものが顕在化するのではないか。


そう思い、筆者は先日買った北電株をしばらく持ち続けようと心に決めた。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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