富山駅前で開発中の商業施設「マルート」は脱アパレル / 1階は食が充実のフロアに

富山駅前で開発中の商業施設「マルート」は脱アパレル / 1階は食が充実のフロアに

2021年10月28日

JR西日本子会社の富山ターミナルビル(富山市)は、富山駅前で開発が進む商業施設「マルート」の概要を発表し、75店前後を予定するテナントは駅前にありがちなアパレル中心のフロア構成ではなく、食や雑貨が中心になると示した。

建設中のJR富山駅ビル。1~4階が「マルート」になる

北日本新聞によると、テナントの半数は食関連となる。1~4階のうち、1階は食(カフェ、総菜、生鮮、ベーカリー)を中心にコスメ店も入る。

2階は駅前広場を挟んで向かいにある商業施設「マリエとやま」から無印良品が面積を4倍に拡大して移転する。アパレルや美容雑貨も入る予定。

3階はインテリアやアウトドア用品のフロア。4階は日用雑貨の店とレストラン街となる。

マルートのコンセプトは「理想の暮らしのアパートメント」。どちらかと言うと、ハレの日の消費を取り込むというより、地元在住の人が、日々の暮らしの中で「ちょっと良い物」を買ったり、「ちょっと良い時間」を過ごしたりしたい、というニーズに応える施設を目指すようだ。

ちなみに、マルートは12階建てのJR富山駅ビルの下層階を占める施設で、5~12階はJR西系列のホテル「ヴィスキオ」になる。

 

コロナ禍でテナント集めに苦戦??

さて、マルートの開業時期は来年3月中旬。もう半年もない。

この時点で店舗数は「約75店」と流動的な要素を残し、テナント一覧を発表できていないあたりを見ると、コロナ禍でテナント集めが難航している様子がうかがえる。

コロナ禍で大きくダメージを受けている業態の一つが、通常こうした施設で主役となるアパレル、外食企業だ。さすがに未だゼロベースの出店交渉をしている区画はないだろうが、条件面の詰め作業が終わっておらず、まだ公表できないテナント企業があるため、今回は一覧の公表を見送ったとみられる。

 

マリエとやまも営業継続

富山・北國新聞によると、マルートの全テナントの発表は年明けになるそうで、マリエとやまは来春以降、残るテナントを特定フロアに集約して一部を休館しながら営業を続ける方向らしい。

この辺りにも、コロナ禍の影響が垣間見える。本来なら老朽化するマリエとやまを大改修し、まったく新しい施設に生まれ変わらせるプランもあったやに聞くが、おそらく既存テナントの中には新規投資に及び腰の企業もあるのではないか。

それで、テナント側も施設側も、コロナ拡大の行方を見ながら、現状を維持する中で将来的な施設・テナントのあり方を模索するという折衷案に落ち着いた、というように受け取っている。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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