北陸の新幹線駅4駅のうち、金沢、富山、新高岡3駅から乗り降りした人の数が2022年度、コロナ禍前の8割を超える水準まで回復したことが分かった。
復調が最も著しい金沢駅は2019年度比で86%の一方、最も低調な黒部宇奈月温泉駅は73%にとどまり、回復ぶりには温度差がみられる。
JR西日本によると、各駅から電車に乗った人数の1日平均である「駅別乗車人員」は、2022年度、多い順に金沢駅が19,690人、富山駅が6,687人、新高岡駅が1,686人、黒部宇奈月温泉駅が631人だった。
これを、コロナ前の2019年度比、開業初年度に当たる2015年度比で示すと、以下の表の通りになる。
2022年度の乗車人員 | 19年度比 | 15年度比 | |
---|---|---|---|
黒部宇奈月温泉 | 631人 | 73.5% | 65.3% |
富山 | 6,687人 | 84.4% | 84.6% |
新高岡 | 1,686人 | 82.6% | 87.4% |
金沢 | 19,690人 | 86.3% | 85.6% |
これは「乗車人員」なので、乗り降りした人数にするには、だいたい2倍すれば良い。
集計には北陸新幹線のほか、JR西日本が管轄する北陸本線(金沢駅)、城端線(新高岡駅)、高山本線(富山駅)の乗客を含む。つまり、金沢駅で言えば、毎日だいたい4万人が新幹線と北陸本線に乗り降りしているということ。IRいしかわ鉄道線は含まない。
さて、いろいろ言葉を並べ立てるよりグラフを見ていただいた方が分かりやすい面があると思うので、北陸新幹線開業時からの推移を示したグラフを挟んでみる。
この4駅分をボリューム感が分かる形でグラフにすると、下のようになる。
ここまで見てきた通り、金沢、富山、新高岡の3駅に関しては、コロナ禍前あるいは開業初年度と比べた現在の水準が同じ程度なのに対し、黒部宇奈月温泉の出遅れが大きい。それが分かるのが、2015年度を100として各年度の乗車人員を数値化した、下のグラフだ。
理由を筆者なりに推測すると、黒部宇奈月温泉駅は2022年度時点で温泉旅行の需要が戻り切っていなかったことに加え、YKKグループなど大きな企業では広域での移動を自粛する動きが続き、リモートでの打ち合わせや商談が定着してビジネス利用が落ち込んでいたのではないか。
さて、この「乗車人員」、2023年度の数字(2024年秋ごろに公表される)は、2週間ではあるけれども北陸新幹線敦賀延伸に伴って在来線が三セクに移管される影響が含まれるので、完全に同じ物差しで比較できるのは、この2022年度が最後になるだろう。
「駅別乗車人員」というのは、筆者を含めて特に鉄道に詳しくない人からすると、理解しにくいし、どう捉えて良いのか難しいところもある。それなのに、ここまで読んでいただいたことに感謝したい。
※1年前の過去記事は以下のリンクから