金沢のオフィス空室率、悪化水準からの横ばい続く/2023年3月期、賃料は下落

金沢のオフィス空室率、悪化水準からの横ばい続く/2023年3月期、賃料は下落

不動産情報サービスのCBREによると、2023年3月期の金沢のオフィス空室率は14.0%で、半年前の急な悪化から横ばい水準が続いている。

「空室率」は数値が大きいほど空きが多くて望ましくない状態ということ

上のグラフの通り、新規の大型ビルが竣工した影響から、2022年9月期に空室率は急上昇(=悪化)した。空室率はそこから3期連続で2ケタとなっている。

2022年3月期は7.7%だったことから考えると、対象のビル数が変わったとは言え、空室率の数値は2倍に高まっている。

空室率の悪化を受け、賃料はやや下落した。想定成約賃料は1坪当たり1万790円で、3カ月前の1万830円から低下した。

地方都市間の比較で金沢は低位に…

ちなみに、他に3大都市圏以外で集計対象になっている地方都市がどのぐらいの水準かと言うと、札幌0.7%、仙台3.2%、広島5.9%、高松6.8%、福岡4.6%。

金沢はこれら主要地方都市の中で最も低位にあるのに、金沢駅金沢港口(西口)では幾つかのオフィスビル開発が進んでいる。これから金沢に進出してくる企業が極端に増えるとは考えにくく、一見、このままでは空室の消化は難しそうに思える…。

注意したいのは、CBREの集計は大規模で高グレードのビルのみが対象ということ。こうしたビルの空き区画が増え、賃料の相場が下がれば、低グレードのビルに入っていた企業が高グレードのビルに移る動きが出て、CBREによる「空室率」は徐々に下がるとみられる。

これに加え、近年の流れにある通り、オフィスは香林坊や南町といった旧市街地から金沢駅周辺への移転が加速するだろう。旧市街地の古いビルが解体されれば、空室率は低下の方向に進む。

もっとも、ホテル用地としての需要も頭打ちなので、ビル跡地はとりあえず駐車場になるのではないか。思えば、数年前までは大通り沿いにコインパーキングが多くあった。見栄えはしないが、地元住民としては意外に便利でもあった。あんな感じに戻るのかも知れない。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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