北陸最大級の商業施設、イオンモール白山がオープン / 初めての訪問でレポートを掲載

北陸最大級の商業施設、イオンモール白山がオープン / 初めての訪問でレポートを掲載

2021年7月20日

203テナントを擁して「北陸最大級」をうたうイオンモール白山(白山市)が、2021年7月19日にグランドオープンした。

実はその前の週から「ソフトオープン」というのをやっており、グランドオープン前日に訪れる機会があった。記者として複数のイオンモールのオープン、その他いろいろな既存施設のリニューアルに立ち会った経験から、新しい施設をレビューする。

立地は白山市横江町土地区画整理事業施行地区内で、海側環状道路沿い。前身(一応そう呼ぶべきか)のイオン御経塚ショッピングセンターから海側に車で5分ほど行った場所にある。施設の概要は以下の通り。

敷地面積     17万5000㎡(17.5ha)
延べ床面積    11万㎡(11ha)
店舗面積     7万4000㎡(7.4ha)

スペック上の面積は、いずれも最近増床したイオンモール高岡(高岡市)より一回り小さい。

ただ、不思議なことに館内を歩くと、白山の方が広く感じる。もっとも、初めて見るものばかりだから、時間がかかっているだけかも知れないが。この辺りの詳細は後述する。

「ソフトオープン」は誰でも入れる?入館制限なし?

しかし、施設紹介の前に、疑問が浮かぶかも知れない。

「なぜグランドオープン前に入れるの??」

実はイオンモールはグランドオープンの数日前に「ソフトオープン」を実施する。「グランド」に対になる言葉が何で「ソフト」なのか、全く分からないが、とにかくすべての店が普通に営業し、客を迎える数日間があるのだ。

新聞などを読んでいると「招待客限定」「地元客限定」といった枕詞が付いてソフトオープンが始まったことが紹介される。では、どうしたら「招待」されるのか。

実は「招待」なんてない。誰でも行けば入館できる。

そう、入館制限などない。

イオンモールは入口が5カ所も6カ所もあるし、いちいちどこに住んでいるか確認するのも大変。ソフトオープンは事前に客を受け入れることでグランドオープン時の混雑を緩和する狙いがあり、各ショップが新規採用した従業員が実践に臨む予行練習の意味合いも。だから施設側も、それなりの数に来てもらわないと困るのだろう。

確か三井アウトレットパーク北陸小矢部もオープン時に同じ仕組みを導入していたはず。大型施設のオープンに出くわす機会は多くないが、今後、新たな施設ができ、一足早く施設に足を運んで話のネタにしたい人は、遠慮せず訪れればよいだろう。

「都会の郊外にありそう」

さて、肝心の館内。全体の印象は「都会の郊外にありそう」という感じ。

これをポジティブに捉える人も、ネガティブに捉える人もいるだろう。通路は広く、「フライングタイガー」など北陸になかったテナントが多いからそう感じるのかも知れない。自然の多い北陸にいると、無機質であることに「都会」を感じがちだった気がするが、思えば都会にある商業施設はあえて樹木や水辺を表現している。

イオンモール白山も、中央の広場には高さ4mもあろうかという樹木が何本も設置されていて、それがむしろ都会感を演出している。

イオンモール白山
グランドオープン前日のイオンモール白山

北陸のイオンモールは基本的に1本の長い通路があり、両側に店が広がる形をとってきた。建物を上から見れば、さぞ細長いことだろう。

しかし、イオンモール白山は2本のメイン通路があり、それをブロックの境目でつなぐ通路がある。上から見ると、ハシゴのような形だ。正直、まんべんなく見るのは大変な形状だが、施設が広々とした印象を受けた。これが高岡より大きいと思った理由かもしれない。

しかも、吹き抜けがたくさんあるので、開放感がある。そのため、屋内にいながら、屋外の多層階のモールに行ったような感覚を持った。

参考・フロアマップ(https://hakusan.aeonmall.com/floorguide/html5.html#page=2

フロアを見て思うのは1、2、3階の全てに飲食店が集まったエリアがあるということ。持って帰るタイプのスイーツの店もかなり多い。そして生活雑貨系の店の比率が高い。この辺りは長年のアパレル不況に加え、コロナ禍でアパレル企業の体力が弱っていることが関係しているのかもしれない。

イオンモール白山の開業に前後し、金沢駅前のフォーラス、中心部の香林坊アトリオ、東急スクエアが閉店ラッシュになった。中にはフォーラスとイオンモール新小松にあった計2店をイオンモール白山に集約した企業もあったようだ。

私見では、今や地方の中心部で大きな商業施設を経営できる時代ではなくなってきたと思う。百貨店がゼロの県が出てきたのがその証拠で、電車やバスで移動する人が大半の大都市圏と比べ、地方の人は「車で出かける」というのが習慣化している。30分に1本しかない電車を待つより、鍵さえ持って来れば出発できる車に乗ることが癖になっているのだ。

子どもが生まれれば尚更である。古い市街地は段差が多いし、子ども用トイレやオムツ替えスペースも少ない。イオンモールに行って思うのは、子ども用のトイレやオムツ替えスペースが多く、カートもたくさんあるので、子どもが疲れて眠っても、親はゆっくりと買い物を楽しめる。

駐車場は無料で、たくさん買い物しても車なので簡単に自宅へ運べる。しかもテナントも同等か、郊外の方が魅力があるとすれば、市街地型の施設に勝ち目はない。

イオンモール白山は北陸初登場のテナントや他の施設に出店していたテナントを引っ張ってくる中で「いま北陸で可能な限り商業施設の魅力を高めるとこうなる」という答えなのだろう。少なくとも金沢近郊の50万人以上は「大型商業施設=イオンモール白山」ほぼ一択になるのではないか。そうなると、割を食うのは駅前、中心部の商業施設だけでない。イオンモール新小松、イオンモールかほくも影響は不可避だと思う。数年後の勢力図が楽しみである。

イオンモール白山のホームページ(https://hakusan.aeonmall.com/

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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