東証1部の大同工業(加賀市)と同2部のオリエンタルチエン工業(白山市)が産業機械用チェーン分野で業務提携を結んだ。両社はいずれも南加賀地区に本拠地を置くチェーンのメーカー。
産業機械用チェーン分野の業務提携の内容は大きく分けて3つ。
① 互いの独自製品の相互供給。大同は10品、オリチエンは9品を互いに供給し合う。
② 相手方の要求する仕様に基づいて生産する製品・部品の相互供給。
③ 上記の相互供給に必要な技術情報の相互開示と交流、協力。
以上の内容を筆者なりに解釈すると、「せっかく近い分野を近い場所でやってるんだから、分野を限って互いに製品や情報をやり取りして、製品ラインナップを拡充するとともに、開発コストの低下を図って相乗効果を生もうよ」ということか。
もっとも、以前の記事(下記)にあるように、一口に「提携」と言ってもいろいろある。
両者が結んだ「業務提携」は簡単に言えば「俺たち仲良しだから、いろいろ一緒にやろうぜ」という緩めの結びつきということ。
リスクあるも、互いにメリット
ところが、メーカーである両社に関して言えば、これまで社内限定の扱いだった情報が少なからず他社にも開示されるわけで、単に「仲良し契約」というわけにはいかない。互いへの信頼が必要なのはもちろんだが、一定のリスクも覚悟する必要もあるだろう。
それでも提携に踏み切った背景には、グローバルな調達網が形成される中で競争が激しくなる中、二輪・四輪用チェーンが主力の大同にとって、産業用をメインとするオリチエンと手を組むことで、高付加価値な産業用製品の強化につながる思惑があるとみられる。
一方、オリチエンにとっては、売り上げ規模で10倍以上の大きさ(21年3月期の売上高は大同が424億円、オリチエンが29億円)の大同と協力関係を築くことで、生産コストの削減などの合理化につなげる狙いがあるのではないか。
かくして「チェーン同盟」は結成された。オリチエンは産業用の売り上げを5年で1・5倍にしたいそうだ。連携がうまくいけば、将来的には資本提携に発展する可能性もあるか、と個人的には感じている。