加賀温泉駅南側、2028年度にアウトレットモールやショッピングセンター、ホテルなどの複合施設/人が集まる拠点に

加賀温泉駅南側、2028年度にアウトレットモールやショッピングセンター、ホテルなどの複合施設/人が集まる拠点に

2023年11月9日

加賀温泉駅南側に2028年度、アウトレットモールやショッピングセンター、ホテルなどからなる複合施設が開業する見通しとなった。コンサルタントの長工(三重県四日市市)が地元・加賀市に構想を提案した。

場所は加賀市医療センターの裏手

まず、開発場所を確認する。加賀温泉駅から見ると、南側にある加賀市医療センターの裏手に当たり、同センターと国道8号に挟まれた一帯となる。

このうち、まず開発されるのは上の写真でいう青色の「第Ⅰ期」の部分。広さは約20haとなる。

「20ha」と聞いてもなかなか分からない。よく引き合いに出されるものと比較しよう。

東京ドーム 4.7ha

兼六園   11.4ha

イオンモール新小松(敷地)  12.8ha

イオンモール白山(敷地)   17.5ha

加賀温泉駅南地区開発(第Ⅰ期)20ha

こうやってみると、規模の大きさが把握できる。

家電や家具、食材など取扱い

もっとも、地元での報道は「加賀市にアウトレットモール!」とクローズアップされがちだが、注意したいのは、ファッションブランドが並ぶ三井系や三菱系のアウトレットモールとは趣きが異なることだ。

長工の資料から、アウトレットに関する説明を抜き出してみる。

狙いは、多肢に渡る商品として、地域の伝統⼯芸品、地域の⾷材、更に家電、家具、⾞等も含めた、最近インバウンドに⼈気の複合型アウトレットモールを⽬指す。

ファッションブランドもないわけではないだろうが、取り扱い商品はかなり幅広い、それこそドン・キホーテとかイオンみたいに生活全般をカバーする感じに見える。

「アウトレット=20ha」ではない

第Ⅰ期区画は「観光・商業・公共集客エリア」と位置付けられており、アウトレットだけでなく複数の機能が備わる。筆者は以前、知人から「加賀市に小矢部よりも大きいアウトレットができるらしいな!」と言われたが、それは誤解だ。

イメージ図を見てみよう。

出典・長工による説明資料

長工の資料によれば、アウトレットの他に地域密着型ショッピングセンター、産地直送マーケット、観光情報センター、ホテルなど宿泊施設などが第Ⅰ期に盛り込まれる。医療ツーリズムに関する機能も持たせる。

お隣・小松市にあるイオンモール新小松(3階建て)は延べ床面積は8万3,000㎡で、12.8haの敷地に1階当たりの面積が2万8,000㎡ぐらいの建物があるとみられる。

この比率を加賀温泉駅南地区第Ⅰ期の建物に当てはめると、建物は4万㎡台前半。駅に近いので駐車場を小さくするとしても、建築面積は5万、6万㎡といったところか。

それが2階建てで、上記のようにいくつかの機能が同居することを考えると、アウトレット部分の面積は多く見積もっても2万~3万㎡ぐらいか。同じ2階建ての三井アウトレットパーク北陸小矢部が延べ床面積4万5,000㎡なので、その半分~3分の2ぐらいかと想像している。

「タウンセンター」って

さて、この記事は第Ⅰ期の計画を「アウトレットが小さい。オシャレじゃない。だから、しょぼい」と、けなしたいわけではない。

報道や反応を見ると「石川県初のアウトレット」というワードが独り歩きさせられていると感じる。このままでは「外野が勝手に高めた期待」と「実際の計画」の差が広がり、後々になって「何だよ、思ってたのと違うじゃないか」勝手に失望する流れになりかねない。

そこで、本計画は一般的な「オシャレスポットとしてのアウトレット」というか、周辺施設も含めた複合開発により、観光客も地元住民も買い物や交流を楽しめる場を目指しているというのが正しい姿だぞ、ということを強調したかったのだ。

その思想を長工は「人々が街の象徴として認識する場所」という意味を込めた言葉として「タウンセンター」と表現している。

北陸新幹線敦賀延伸で、加賀市は大きな転換期を迎える。計画の妥当性については賛否あろうが、少なくとも、その新しいまちづくりの中心を担うのだという気概を感じる。そういう意味で、第Ⅰ期の進ちょく、第Ⅱ期の概要発表が楽しみだ。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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