北陸銀行と北海道銀行の持ち株会社、ほくほくフィナンシャルグループ(FG、富山市)は2021年12月24日、来年1月4日~3月24日に最大625万株の自己株式を取得すると発表した。
取得するのは発行済み株式の4.75%。ということは理論的には株価が5%ほど上がるということになる。中長期で下がり続ける株価の反転に向けた起爆剤となるか。
取得は東証の市場買い付けで行う。24日終値は805円で、これに625万株を掛け算すると、取得価額の総額は50億円ほどになる。
これは決まり文句ではあるが、取得の理由は「株主への利益還元、機動的な資本政策による資本効率・企業価値の向上」らしい。後半部分は何を言っているか分かるような、分からないような、やっぱり分からない。
既に時間外取引で上昇
さて、ほくほくFGの株価をおさらいしよう。
前述の通り、最近の価格は800円前後。これが1年前の2020年12月は1000円前後、19年12月は1100円前後、18年12月は値動きが荒くて1180~1517円だった。5年前の16年12月は2000円前後だった。
つまり、5年間で半値以下になっているということだ。これでは、いくら配当利回りが良いとは言え、インカムゲイン(配当金収入)を値下がり分が大きく上回ってしまっている。
ここで、久々の自社株買いである。おそらく予期していた投資家は少ないだろう。
時間外取引で同社の株式は、24日終値から35.7円(4.43%)高い840.7円にまで高騰している。
もっとも、銀行業は低金利下で収益環境が厳しく、特に地銀は値下がりを続けている銘柄が多い。自社株買いには経営陣の気概を感じるが、決して長期的な経営環境が改善したわけではない。自社株買い期間は別として、株価がこれを機に反転、上昇局面に入れるかどうかと言われると、なかなか厳しい気がしてしまう。