中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局は2022年1月24日、富山、石川両県と連携し、北陸を舞台にした創業を推進しようと「ほくりく創業支援ネットワーク」を新設すると発表した。
2月2日に富山市内でキックオフミーティング(記事の最後にリンクあり)を開く。ミーティングでは参加自治体の創業支援担当者が、各自治体の強みや課題を共有するグループワークに取り組む。
その後も優良取り組み事例の共有、セミナーやワークショップの開催などの活動を展開するらしい。
発表によると、現在、全国の各自治体が創業を後押ししているものの、他の自治体の取り組みを知ったり、関係機関との連携を深める機会を求めたりする実情がある。
そんな中、さらに創業を推進するには、県域を越えて連携する必要があると考えたようだ。
保守的な北陸、創業への理解は進むか
北陸は保守的な土地柄だ。これだけ人材の流動性が高い現代でも、筆者が会社を辞めると言うと、聞いた人みんなが目を丸くした。身を案じてくれたのだろうが、あまりに何度も言われると、何だか良くないことをしているような気分になった。
そして、多くの人が発した二言目は「次はどの会社に勤めるの?」。今も北陸では「転職=働く会社を替えること」なのだ。
それは「転職」と言えるのだろうか。仮に異なる業界の会社に移っても、職業は会社員のままである。ほとんど「移籍」じゃないのか、と思う(移籍することを否定しているわけではありません)。
半世紀前から変わらぬ顔ぶれ?
記者時代、全国転勤の人と話す機会がたくさんあった。よく言われたのが「北陸の人は勤勉で真面目」「女性も働き者」だった。褒め言葉のつもりだろうが、何となく煮え切らない気持ちもあった。
と言うのも、前者に関しては逆に「働くは働くが、小さくまとまっている」、後者に関しては「就労率は高いが、活躍の場は少ない」という負の側面も意識してしまったからだ。
北陸の経済界は未だに地銀、電力会社、新聞社が幅を利かせ、有力な新興企業があまり育っていない。それは北陸経済連合会長を北陸電力、金沢商工会議所会頭を北國銀行、富山商工会議所会頭を北陸銀行、金沢経済同友会代表幹事を北國銀行と北國新聞社と福光屋、富山経済同友会代表幹事を北陸銀行と廣貫堂の出身者が占める現状から明らかだ。
別に、それら歴史ある会社が悪いと言っているわけではない。地元経済界トップの出身企業の顔ぶれが、50年前、100年前から同じなんじゃないか、と思うような状況に違和感を覚えるのだ。北陸出身者でも、よそで起業し、成功している人は多い。だから、北陸の人が起業に向いていないわけではなく、新陳代謝が促されにくい風土があるのではないか。
今回の「ほくりく創業支援ネットワーク」にどれだけの実効性があるかは分からないが、従来の自治体の枠組みをさらに拡大した点で、支援の取り組みは少なからず前進すると期待できる。あとは内部での情報共有に終始せず、実際に挑戦した人や取り組みを外部にも広く発信し、この地にチャレンジする人を応援するような空気感が育まれる一つのきっかけになればいい、と思っている。
ワークショップの案内は下記リンクから。
https://www.chubu.meti.go.jp/e45sogyo/press/sogyoshien_network_chirashi.pdf