明文堂プランナー(富山県朝日町)が金沢市鞍月5丁目に置く書店「金沢ビーンズ」に、米国のEV(電気自動車)メーカー、TESLA(テスラ)の自動車専用の充電スタンドが完成した。
見た目は写真の通りで、白を基調に赤色を配したデザイン。
同店があるのは石川県庁の近くで、周辺は新しめの建物が多い。そうした街並みの中にあってなお、違和感を覚えてしまうほど未来的な見た目となっている。
もっとも、今は周りに雪が残っていて、充電スタンドも駐車場の風景にまあまあ溶け込んでいる。雪が解けて春になると、かなり目立つ存在になりそうだ。
さて、充電スタンドは同店の東側駐車場に5基が設置されている。カラーコーンなどに取り付けられた案内には「テスラ充電専用」の文字がある。
テスラ車は街中でも見掛ける機会がだんだんと出てきたが「いくら何でも、テスラ車が5台も同時にビーンズに来るほどは普及していないだろう…」と思い、よく案内を読むと、駐車場が満車時はテスラ車以外も停めていいらしい。
最近はスーパーの駐車場でも一般的になってきたEV充電スタンド。書店にあって、しかもテスラ専用というのは少なくとも北陸では珍しいのではないか。けっこう格好いいので、近くに寄ったら見に行ってみて損はないだろう。
北陸でのEV販売、10年間で4,300台超
世界各国が「脱炭素」の大号令の下、ガソリン車の新車販売を数年内にやめる目標を掲げ、EVにはかつてない追い風が吹いている。それでは、北陸での普及度合いはどうだろうか。
次世代自動車新興センターのまとめによると、新型コロナの影響が出る直前の2019年までの10年間(2010~19年)に北陸三県で補助金の交付を受けた車両の台数は計4,318台だった。この間の推移は以下のグラフの通り。
基本的には全国と同じ傾向で推移しているのが分かる。全国に占める北陸の比率は2.6~4.3%(平均は3.3%)。自動車の販売は景気変動の影響を大きく受けるので、一言で表現すると誤解を生みかねないが、台数はじわじわと増加基調にあるようだ。
そんな中、世界的には販売台数を伸ばしているのが海外メーカーだ。
特にテスラは21年のEV販売台数が前年比87%増の93万6222台で、過去最高を更新した。ドイツのフォルクスワーゲンですら45万2,900台でテスラの半数にとどまる。トヨタ自動車は本格的にEVを販売する前だとは言え、1万4,407台で勝負にならず。こう見ると、テスラの圧倒的優位が際立つ。
日本自動車輸入組合の発表によると、日本国内で2021年に新規登録された輸入EVは8,610台で、20年かの3,238台から2.7倍に増加している。北陸でも同様の推移とみられる。
冒頭、金沢ビーンズの話の中で「テスラ専用で5基は多すぎる」といった趣旨の記述をした。しかし、この勢いを見ていると、そう遠くないうちに「テスラ用が5基しかなくて足りない」と言う日が来るかも知れないとも感じた。