日野自動車(東京都日野市)は2022年3月4日、エンジンの排出ガスや燃費を評価する試験に関し、正しい手順で行わずに不正なデータを国に提出して「型式認証」を取得していたと発表した。該当するエンジン3機種、それを搭載する車両の出荷の停止を決めた。
※続報は以下のリンクから。
日野は北陸とゆかりがあり、バス、トラックの部品や組み立てを北陸の関連企業が手掛けている。
日野の100%子会社、トランテックス(白山市)はトラックのボディーやバスの部品を製造している。
さらに、日野と、いすゞ自動車(東京)が50%ずつを出資し、日野にとって持分法適用会社に当たるジェイ・バス(小松市)は、日野、いすゞ両社向けバスの製造、バスボディーの開発を手掛けている。
筆者の記憶では、日本にはバスメーカーが2社しかなく、日野、いすゞのバスは全てジェイ・バスが、ふそうのバスは全て三菱ふそうバス製造(富山市)が生産していたはず。
前述の事業内容を見る限り、トランテックスやジェイ・バスが今回問題になったエンジン部品の開発段階へ直接的に関わっているわけではなさそうだ。しかし、主力車種が出荷停止になったり、ブランド力が落ちたりしたら、工場の稼働縮小といった間接的な影響が出かねないだろう。
なくならない不正
車に関する不正は数年おきに出てくる。なかなか根絶されない。
今回の日野の不正は排ガス関係なので、乗っている人の命に関わる話ではないが、もともと、そういう問題ではない。
「品質(神)は細部に宿る」
と言われる。
例えば、病院のベッドが故障したままだったり、医師の白衣が汚れていたり、トイレや待合室の掃除に不備があったりしたら、それが命に関わることじゃなくても、患者や家族は不安に思うもの。「こんな単純なことすらできないんだから、きっと…」とマイナスの想像が膨らむのだ。
日野の発表資料によると、データ不正は「現場における数値目標達成やスケジュール厳守へのプレッシャー等」が背景にあったらしい。プレッシャーなんて、どんな職場にも多かれ少なかれ、ある。資料を作るに当たり、原因を書かなければ格好が付かないのは理解するが、それが正当な理由にならないことは言うまでもない。
日野によるプレスリリースは以下のリンクから。