北陸鉄道が街歩きコースを初めて設定 / バスでの移動先を巡る / 第1弾は金石・大野

北陸鉄道が街歩きコースを初めて設定 / バスでの移動先を巡る / 第1弾は金石・大野

2022年4月21日

北陸鉄道(金沢市)は2022年4月20日までに、バスを使って移動した先の街を歩いて巡るコースを提案する企画を始めた。「ほくてつハイキング」と銘打ち、第1弾は「港町金石・大野めぐり」とする。

コースは金石バスターミナルを起点に、金石港や大野日吉神社、金沢港いきいき魚市などを巡り、金沢港クルーズターミナルに至る6.8㎞の道のり。目安となる時間は1時間50分らしい。

予約は要らず、参加も無料。参加するには、金石バスターミナルに掲示してある2次元コードをスマートフォンで読み取り、必要事項を入力する。すると、メールで地図と参加特典が送られてくる。

参加特典というのは「直江屋源兵衛」で使える買い物割引券と「ヤマト・糀パーク」の発酵食美人食堂での食事か買い物時にもらえるプチプレゼントの引換券のこと。

実施期間は29日~5月8日。

ん?「ハイキング」??

この企画を聞き、真っ先に名称への違和感があった。筆者としては「ハイキング」と言うと、藤で編んだバッグにサンドウィッチを入れて山へ出掛けることだったからだ。

手元にある広辞苑を引いてみる。

ハイキング=自然に親しむため山野などを歩くこと。

ちなみに

「山野=①山と野原②いなか。田野。」

そして

「田野(でんや)=①田と野原。②田や野原のあるところ。いなか。」

いやいや、広辞苑さん、そしたら「山野」の説明は「①山と野原②いなか。田、野原、いなか。」ってことだから重複しまくってるよ!

それはさておき、街歩きの第1弾の舞台に港町の金石・大野選んで「ハイキング」は、間違いとは言えないが、少し違う気もする。「ウォーキング」ではダメだったのか。皆さんはどうだろうか。

スタート地点とゴール地点が異なる巧みさ

もっとも、この企画で感心した点もある。それはスタート地点とゴール地点が異なることだ。

これはバス会社ならではの発想で、仮に車でスタート地点へ行っても、歩いて辿り着いたゴール地点が違う場所なら、また車を取りにスタート地点まで戻らないといけない。

「スタート地点にもゴール地点にもバス停があるんなら、最初からバスにする」という参加者を集めるのが狙いだろう。

実は、このスタート地点とゴール地点の違いによる企業側のメリットを感じる場所がある。それはイオンモール白山、イオンモール新小松の構造だ。

両館に共通するのは3階建てということ。仮に東西に長いモールだとする。1階の東端入り口から入り、館内を西側まで移動した後、2階へ。今度は西側から東側へ移動し、3階へ。そして東側から西側へ。全館を見終わると、自分は西側にいて、車は東側にある。

全館を巡って帰るには、いずれかの階を2回通らなければいけない。当然、その分、商品と客の接点が増える。そして同じ道を2度通ると、1度目に見落とした魅力的な商品を発見することがある。

北陸鉄道、イオンモールとも、本来、消費者に理想的なのは、スタートとゴールが近く、自由に選択肢を比べられる状態のはず。

しかし、その2つの地点をあえてずらし、発生する不便さを片や「スタートにもゴールにもバス停あるよ。バスって路線も多いから良いよね」、片や「ほら、2度通ると、より良い物を見つけられるでしょう?」と自社にとってプラス方向へ変えようとしているように見える。その辺りに巧みさを感じている。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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