名古屋鉄道(名古屋市)は2021年10月1日付でグループのタクシー事業を再編し、子会社の石川交通(金沢市)を、グループのタクシー部門を統括する会社の傘下に入れることにした。
長引くコロナ禍でタクシー事業は収益性が悪化している。そんな中、グループ内の各タクシー会社を横断的に管轄し、効率化を進められる体制を気付く狙いがある。
名鉄グループのタクシー関連会社はこれまで、名鉄タクシーホールディングス(HD)の子会社に中京圏を中心とした11社があり、同HDを介さずに名鉄直轄となっている企業として石川交通を含む4社、その子会社の1社の計5社が存続していた。
今回はこの5社をいずれも同HDの子会社(つまり名鉄の孫会社ということ)とし、経営管理体制を強化する。現在は石川交通の株式のうち90・6%を名鉄が保有しているが、今後はその90・6%分の株式を同HDが保有することになる。
ちなみに、名鉄本体は2021年3月期の連結営業収益が4816億4500万円で、営業、経常、最終損益は赤字に転落していた。今期(22年3月期)は黒字化を見込んでいるものの、鉄道や観光に関連した事業の先行きは不透明なまま。このタイミングでのグループ内の事業再編は、同グループが持つ危機感の一端が現れたものと言えそうだ。
コロナ禍の富山、2社が廃業
北陸では今年に入り、富山地鉄タクシー(富山市)が3月末、「新富タクシー」の新富自動車(同)が6月に廃業した。
いずれもコロナ禍で観光客や酔客が減り、利用客数も大きく減少したためで、資金繰りが滞って事業が行き詰まる前に、自ら営業終了の道を選んだ。新型コロナはワクチンが少しずつ普及し、収束が見え始めた矢先に「第5波」が発生。
この分だと、旅行市場の回復はもっと先になりそうだ。今のところ石川県内ではタクシー事業者の目立った倒産や廃業はないが、この状況を見る限り、時間の問題なのかも知れない…。
名鉄のリリースはこちら(https://www.meitetsu.co.jp/profile/ir/reference/disclosure/tekiji210806.pdf)