北陸鉄道の23年4月ダイヤ改正、金沢の路線バスを1割減便/金沢駅からイオンモール白山への路線新設

北陸鉄道の23年4月ダイヤ改正、金沢の路線バスを1割減便/金沢駅からイオンモール白山への路線新設

北陸鉄道は2023年4月1日のダイヤ改正で、金沢エリアを走る路線バスの減便を実施する。現行ダイヤと比べると、平日で8%減、土日祝日で15%減となる。運転士不足の状況下で安定的な運行体制を維持する。

路線バス廃止路線

今回のダイヤ改正で路線ごと廃止になるのは、北鉄奥能登バスが運行する上曽又線。能登町内を走っており「能登高校南」バス停と「上曽又」バス停を結んでいる。廃止便数は平日、土曜とも1日7便。

路線バス廃止系統

金沢エリアで廃止になるのは、以下の系統。

●木越円光寺線 木越住宅ー大浦保育園前(廃止便数 平日5便)

●笠舞駅西線  鞍月経由の系統(廃止便数 平日6便、土日祝日4便)

●津幡線    旧道経由系統(廃止便数 平日5便)

●内灘線    向粟崎経由、宇野気駅発着の各系統(廃止便数 平日10便、土日祝日7便)

●辰口線    快速便、先端大学院経由の系統(廃止便数 平日3便)

このほか、能登・加賀エリアでは富来線の領家口系統(平日4便)を廃止する。

高速バス富山線

高速バスの富山線はダイヤ変更・減便(減便数 4便)となる。

能登方面特急バス

輪島特急・珠洲宇出津特急を減便(減便数 4便)する。また、富来急行線の富来ー高浜を廃止し、路線名を高浜急行線に変更して減便(減便数 2便)する。

定期観光バス

和倉温泉を発着する定期観光バス「おくのと号」を廃止する。

新設路線バス

一方、金沢エリアの路線バスの新設や増便関係では、野町駅発着便を増便(増便数 平日54便、土日祝日43便)する。また、金沢駅とイオンモール白山を結ぶ路線を設ける(新設便数 平日6便、土日祝日6便)。

能登・加賀エリアでは、羽咋駅を発着して能登中核工業団地を経由する系統を新設(新設便数 平日2便、土日祝日2便)するほか、加賀温泉駅を発着して錦城中学校を経由する系統を新設(新設便数 平日2便、土日祝日2便)する。

今が公共交通の曲がり角?

北陸鉄道グループは近年、少しずつ減便や路線網の縮小を進めている。「これまでバス停が15カ所あった路線のうち、利用者数が少ない山奥のバス停3カ所を廃止する」などの手法だ。

新聞社で鉄道を担当していた頃。北陸で大雪が降り、北陸鉄道の鉄道線が運行を続けた一方、JR西日本の北陸線は運休した。北陸線は営業距離が長く、積雪は石川県南加賀~福井県で多かったため、除雪が追い付かなかった。他方で北陸鉄道は「人海戦術」で除雪したそうだ。

それを聞き、新聞社内を「さすが北鉄。JRは怠慢でビビり、庶民の敵」との論調が支配した。

筆者は人海戦術という執念に敬意をはらいながらも「いやいや、長い線路を人力で除雪できるほど人が多いってのは、通常時のムダが多くて、その分が経費として料金に乗っているってことでしょ」と言ったが、理解者はいなかった。

それから数年がたち、北鉄が「人手不足」を理由に、バス路線のスリム化を進めている。本当にどうしようもなく人手が足りないのか、路線縮小のための方便なのか、実際のところは分からない。

1つ言えるのは、人口減少時代に入り、公共交通が曲がり角に差し掛かっていること。少なくとも、それなりの集落の表通りに出ればバス停があり、過疎地でも数時間に1本ぐらいはバスが来る、というような状況は崩壊しつつある。

職業差別ではなく現実問題として、ハンドルを握る職業は若者からの人気が相対的に低く、人手不足は慢性化している。人口減少を含めて課題は多い。そういう意味では曲がり角に差し掛かっているどころか、もう結構な角度まで曲がってしまっているのだろう。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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