実は北陸の会社①Tシャツの「OJICO」を展開する会社「チャンネルアッシュ」

実は北陸の会社①Tシャツの「OJICO」を展開する会社「チャンネルアッシュ」

2021年8月29日

「普段あんまり意識していないけど、実は北陸発なんだ」という企業を定期的に紹介したい。

(出典・チャンネルアッシュ公式ホームページ)

実は全国で事業展開するような新興企業は、地元の新聞やテレビにあまり広告を出さない。だから、地元のマスメディアはヘソを曲げてしまい、そうした企業を取り上げないため、地元での認知度が低いままになりがちだ。

しかし、それで良いと思う。

全国展開する上で「地元メディアに広告を出す」という行為は優先度が低いはず。限られた資本は、さらなる成長のために使うべきで、人口規模の小さな都市で、しかもマスに向けた広告を打つ費用にするのは効果が薄いだろう。

これはGAFAMと呼ばれるような米国の巨大企業が配当を出さない(あるいは配当を出していても少額で済んでいる)論理と似ている。あれだけ株主の権利や地位についてやかましい国にあって、無配でも納得してもらえるのは、余ったカネは次の成長に向けて投資され、実際に企業が成長するというプロセスを理解しているから。

成長途上で資本力や人員的な余裕に乏しい企業は、取捨選択を通じて効果・成果の高いところに力を集中させるべきなのだ。

8番らーめんとコラボ

第1弾は子ども向けを中心に独自ブランドのTシャツを販売する「OJICO(オジコ)」を全国展開するチャンネルアッシュ(野々市市)だ。

(出典・チャンネルアッシュ公式ホームページ)

北陸新幹線や8番らーめん、すみっコぐらしなどとコラボしたTシャツを販売している。赤字に白抜き文字の看板は、一度は見たことがあるだろう。

ブランドのホームページによると、野々市市の金沢店、金沢百番街Rinto店のほか、東京スカイツリータウン・ソラマチ店、横浜ジョイナス店(横浜駅近くのファッションビルのこと)に常設店舗を持っている。2020年までは東急プラザ表参道原宿店、東急プラザ蒲田店もあったようだ。

このほかに「パートナーショップ」と呼ぶ取扱店が羽田空港などにある。さらに、全国の百貨店などで、期間限定ショップも展開している。

同社ホームページによると、金沢市出身の越原裕幹氏が2002年に子ども服と雑貨を扱うH(アッシュ)を創業。05年に法人化して「OJICO」を立ち上げた。

07年には東京の立川に店舗をオープンした。15年には女の子・女性向けラインとして「OJI子」を立ち上げ、横方向にブランドの幅を広げている。

半袖Tシャツは3000円台後半

最も売れ筋の半袖Tシャツの価格帯は3000円台後半となっている。ブランド物よりは安いが、以前に紹介した西松屋チェーンでは最も安いTシャツがワンコイン価格なので、10倍程度の価格である。

これは、何とも絶妙な価格帯だと思っている。じいちゃん、ばあちゃんが孫に買ってあげる時、父さん、母さんがちょっとしたご褒美として買ってあげる時に「普段着より、少し良い物」みたいなラインではないだろうか。

しかも、子ども服というのは、すぐに着れなくなる。「来年も再来年も着れる大きめサイズで」と思うが、あまり大きいのを着ているのも可哀想か、と思うと、結局、2年ぐらいしか着れなくなる。

「6ポケット」??いや少子化で「10ポケット」も?

少子化、少子化、とうるさい時代だが、一方で「6ポケット」という言葉もある。要するに、1人の子どもには、父母、両家の祖父母の6人の財布が支えているということだ。

子どもの多い時代なら大人6人で子ども6人を支えるという構図もあったかも知れないが、今は結婚しない人も多くなり、大人6人に子ども2人、などという構図が生まれている。収入が一定と仮定すると、子ども1人に使える金額は3倍だ。

一般的にはこう言われているが、経験則から言うと、現代では「8ポケット」も「10ポケット」も成り立つと思っている。

理屈は、こうだ。30代のAさんには妻との間に2人の子どもがいる。両家の両親を含めて「6ポケット」なのだが、実はAさんの弟は30代なのに未婚で、今もって結婚する気配がない。だから、たまに帰省してくる時はAさんの子ども2人にオモチャや絵本を買ってきてくれる。実はAさんの妻の弟も同じ境遇だ。これで実質的に「8ポケット」。

それだけではない。今どき、老人は元気で長生きである。Aさんの祖母、Aさんの妻の祖母もまだまだシャンとしている。お年玉はもちろん、最近は小売業界の策略に乗り「お盆玉」までくれる。「10ポケット」だ。

少子化が進んでいるからと言って、子ども向けの商売がうまくいかないわけではない。むしろ、縮小しているとされる業界は、市場から撤退する企業が出るため、残った企業が意外に多くの利益をあげることも珍しくない。チャンネルアッシュがそれに該当するかはともかく、今後の展開には大いに注目したい。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

PAGE TOP