北陸電力は2023年4月1日、オール電化住宅などが該当する「自由料金」プランの電気料金を値上げする。オール電化住宅の値上げ率は平均11~12%で、一般的なモデル家庭では月額2,700円程度の負担増となる。
※自由料金に先立ち、改定が発表された規制料金に関する記事は以下のリンクから
対象の一般家庭は60万件
今回の改定の対象はオール電化住宅などの「自由料金」が適用されている一般家庭(低圧)と、工場や商業施設が該当する高圧・特別高圧で契約しているユーザーとなる。
北陸電力が契約している一般家庭は115万件あり、自由料金は60万件。残る55万件が規制料金となる。
それでは、北陸電力が示したモデルケースを見てみる。
プラン「くつろぎナイト12」に加入する一般的なオール電化住宅(1カ月で750kWh使用)は、1カ月の電気料金が現行よりも2,782円(11%)多い2万7,064円になる。
オール電化ではなく「従量電灯ネクスト」に加入する一般家庭(1カ月で350kWh使用、上の表には記載なし)は1,490円(12%)高い1万4,021円となる。
商業施設・工場は2割超の値上げ
高圧、特別高圧は値上げ率が一般家庭よりも大きく、23~24%とした。
ちょっと金額が大きすぎて分かりにくいが、商業施設(1カ月で1万5,000kWh使用)のモデル料金は月87万円(23%)多い466万円に、大規模工場(1カ月で120万Wh使用)は776万円(24%)多い3,948万円に膨らむらしい。
(余談だけど、大規模工場の年間の電気代が3億円以上することに驚いた)
商業施設や工場が支払う電気代が上がろうが下がろうが、一見して消費者には関係なさそうだ。しかし、光熱費の上昇は成果物の増減に何ら関係しない文字通りの「コスト増」で、回りまわって消費者にシワ寄せが来る可能性がある。残念ながら、無関係とも言えないだろう。
あれ?規制料金は45%も値上げなのに?
ところで、2022年11月30日に北陸電力が発表した規制料金の値上げ計画では、値上げ率が平均45%という高さだった。
それを覚えている人からすると「出た出た!オール電化のお得意様だけ値上げ率を抑えて、えこひいきかよ!」と荒ぶった声が上がりそうだ。
筆者は電気料金の専門家でも何でもないのだが、11月末と今回の資料を必死に見比べ、答えらしきものを探した。
そもそも、規制料金はコスト急騰分を価格転嫁できる上限が決まっている。この点、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻に起因して急騰した発電コストは、料金に反映させられる上限を、とっくの昔に超えていた。
つまり、コスト上昇の一部を北電がかぶる状態が続き、規制料金プランの家庭は本来なら払ってもおかしくない水準より少ない電気料金で済んでいたわけだ。
そういう意味で言えば、今回はこれまでの不公平感を正そうとするが故に「改定率」に大きな差がついた、と言えそう。だから「オール電化の奴らはズルい!」と言うのは止めていただきたい、と、オール電化住宅に住む筆者は思っている。
今回の北陸電力の発表資料はコチラ。