北陸電力は2023年4~6月期(1Q、第1四半期)の連結決算は、増収で、各損益が赤字から黒字に転換した。発電に使う燃料コストが下がったほか、電気料金の値上げが収益を押し上げ、各利益はもう通期計画を超えた。
営業収益 | 営業利益 | 純利益 | |
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2022年4~6月期実績 | 1,635 | ▲122 | ▲92 |
2023年4~6月期実績 | 1,929 | 418 | 304 |
2024年3月期の予想 | 8,400 | 300 | 200 |
期ズレで利益380億円プラス影響
電力会社特有の仕組みとして、燃料費の高騰分を価格転嫁するタイミングが後になり、結果として利益が増えるという現象がある。これを「期ズレ」などと呼ぶ。今回はこの期ズレの影響により、380億円分の利益がプラスされた。
販売電力量は18%減って62.8億Whだったため減収にはなったが、経常損益は期ズレ効果に加え、小売り電力料金の改定が230億円、託送料金の改定が50億円のプラス要因として寄与。黒字転換となった。
通期売り上げ予想を下方修正も「過去最高」を維持
販売電力量が減少していることから、2024年3月期の連結営業収益予想を従来より700億円少ない8,400億円に下方修正した。それでも現在のところ過去最高値である8,176億円(2023年3月期)を上回る水準となっている。
売り上げが700億円も減れば利益も減少しそうだが、各利益は従来予想を据え置いた。発電コストが低下して利益を押し上げているからで、そうした効果が減収影響を相殺するという理屈らしい。
北陸電力は今回の業績予想修正に合わせ、想定為替レートや原油・石炭などの想定調達価格も現実に即して(現実より厳しく?)見直した。そういう意味で、各利益は1Qの実績が通期計画を超えたものの、通年で見ると、意外に伸び悩む場面もありそうだ。