繊維機械メーカーの津田駒工業(金沢市)は2021年10月13日、21年11月期(通期)の連結業績予想を下方修正し、営業、経常、純損失がいずれも公表値より拡大すると発表した。
同社が通期業績予想を引き下げるのは、1月に最初の見通しを示してから2度目となる。
最終損失は当初見込みの4.5倍に
今回は売上高を従来予想と比べて13.8%減の280億円、営業損失を12億円から31億円、経常損失を11億円から31億円、純損失を17億円から38億円に引き下げた。
例えば純損失は当初8億円と見込んでいたことから考えると、採取赤字が想定の4.5倍に膨らむということである。
なぜそんな危機的状況なのか。同社の公表資料によると①新型エアジェットルームの立ち上げに伴う初期投資の費用増②海外物流コストの高騰③半導体など原材料の高騰、といった影響を受けたらしい。
①は津田駒独自の事情で、②、③は海外展開する製造業者ならだいたい当てはまりそうなものだが…。世の中の製造業者はコロナ2年目を迎えて業績がV字回復しつつある。
その中で、津田駒は営業、経常、純損失が40億円台だった2020年11月期と、大きくは変わらない損益水準になる当たり、他に落とし穴がありそうである。
売上ピークは30年前
今期の売上高予想280億円は前期実績と比べれば34.3%増となるが、コロナ禍前の19年11月期の376億円から見れば、25.7%減の水準となる。
素人考えでは、多くの製造業者でコロナからリベンジ的に生産が回復しているが、同社の主要顧客である繊維業は出遅れているのではないか。しかも中国は地政学的リスク、景気減速懸念が高まっている。こう並べるだけでも、先行きはなかなか厳しそうだ。
同社の売上ピークは約30年前の1992年11月期(704億円)。この30年間で半分以下になってしまった。1つの時代の終わりを予感させる状況ではある。
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