北陸電力株の買い時を考える/最悪期は脱したか/ポイントは今期業績予想の公表時期?

北陸電力株の買い時を考える/最悪期は脱したか/ポイントは今期業績予想の公表時期?

2023年4月12日

北陸電力株の買い時を考えてみたい。

上場企業の決算発表シーズンが近くなり、株の売買が難しくなってきた。為替や原材料価格の先行きが見通しにくく、企業業績を予想しにくいからだ。そんな中、北陸の銘柄で注目したいのが今期(2024年3月期)に電気料金を値上げする北陸電力である。

筆者が見る限り、ポイントは2024年3月期の業績予想を公表する時期だ。

5年チャートを見ると、底打ちの感

まずは直近5年のチャート。

出典・Googleファイナンス、株価は2023年4月12日10時すぎ

2022年の秋を底として上昇に転じている。2022年秋と言えば、北陸電力が規制料金の値上げ方針を示したのが11月で、その直前ぐらいだ。

志賀原子力発電所が動かせない中、火力発電の燃料となる石炭や石油の高騰が利益を圧迫していたが、電気料金に転嫁できれば業績は改善する。会社四季報では先行きを【黒字転換】と紹介している。

2023年に入ってからの株価は、緩やかな右肩上がりとなっている。原発再稼働への機運も高まり、株価上昇を後押ししている。

23年3月期は2期連続の赤字予定

北陸電力は2023年3月期に営業、経常、最終赤字となる見通し。それぞれ赤字は2期連続だ。

2018年の株価は現在の2倍で、当時(2019年3月期)の業績は売上高が6,229億円、営業利益が128億円だった。

2023年3月期の予想は売上高が8,500億円、営業損失が1,000億円。売り上げは増加しており、販売電力量が回復して燃料高が落ち着き、値上げもできたら、当時の利益額を超えられそうである。前述の会社四季報も、2024年3月期の営業利益を180億円と予想している。

ただ、今期業績予想は23年秋以降に公表か

ただ、ここからがややこしい。

黒字転換や復配といった期待が高まる北陸電力が、その待望の業績予想を発表する時期について、筆者は2023年秋以降とみている。

ここで、通期の利益予想を発表した時期を、過去10年間にわたって整理してみる。

北陸電力の決算短信より筆者作成。Q=四半期

表の通り、利益予想が期初(=前期決算の公表時)に示されることはほとんどない。まして現在のように燃料価格が見通しにくいと、なおさら見通しを示す時期を遅らせたいはず。

また、北陸電力の企業姿勢、電力会社に対する世間の目からして「値上げをお願いして早々に黒字転換予想を発表」なんて、できないだろう。何かしら他の話題がある時期に、そっと黒字化予想を公表すると考える。

23年3月期決算の発表は4月27日

以上から、4月27日の23年3月期決算発表では、経済活動の再開を織り込んだ売上高予想のみ示し、利益や配当の予想は見送るとみる。

足元の株価が好業績予想の開示期待で上がっているなら、開示が見送られると、翌4月28日は「失望売り」が増えるかも知れない。そうなると、短期的には割安で買えるポイントにもなりそうだ。

筆者は27日に向けてジリジリと値が上がるとみて、数百株だけ買ってある。あとは決算前にどれだけ売って、どれだけ保有し続けるかを検討する。いずれにせよ、これ以上の悪材料は考えにくいので、長期目線なら今のうちに買うスタンスで良いかも知れない。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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