志賀や砺波の「ロイヤルホテル」、フランス系ブランド「メルキュール」にリブランド/24年春

志賀や砺波の「ロイヤルホテル」、フランス系ブランド「メルキュール」にリブランド/24年春

もともと大和ハウス工業の系列ホテルとして親しまれた志賀町、砺波市の「ロイヤルホテル」が2024年春、フランス系のホテルブランド「メルキュール」に生まれ変わることになった。

フランス・パリを拠点とする世界最大級のホスピタリティグループ「アコー」が2023年7月20日、志賀町、砺波市など全国のホテル23軒に関し、所有会社から運営を受託したため、2024年春に「メルキュール」もしくは日本初上陸の「グランドメルキュール」にリブランドして開業させると発表した。

アコーによると、メルキュールは60ヶ国以上・900超の拠点を有する国際ネットワークを活かし、各地の魅力を食・デザインを通じて感じ取れるミッドスケールホテル。ビジネスやレジャーなど、さまざまな目的を持つ客に身近だが非日常的な宿泊体験を提供するブランドらしい。

今回、23軒もホテルを地方で開業させるのは、定番の観光地以外のエリアにも、その地に根付いた文化・伝統があることから、地域の魅力を再発掘することで、宿泊客に豊かな観光・宿泊体験を提供して地方観光産業を盛り上げられると考えたからだという。

日本国内に既にある「メルキュール」のホテル
海外にある「グランドメルキュール」のホテル

<「メルキュール」へリブランド:計11軒>

  1. Hotel & Resorts KYOTO-MIYAZU(京都府)
  2. Royal Hotel 長野(長野県)
  3.  Hotel & Resorts WAKAYAMA-KUSHIMOTO(和歌山県)
  4. Royal Hotel 富山砺波(富山県)
  5.  Royal Hotel 土佐(高知県)
  6.  Active Resorts 宮城蔵王(宮城県)
  7. Royal Hotel 大山(鳥取県)
  8. Active Resorts 裏磐梯(福島県)
  9.  Hotel & Resorts SAGA-KARATSU(佐賀県)
  10.  Royal Hotel 宗像(福岡県)
  11.  Royal Hotel 能登(石川県)

<「グランドメルキュール」へリブランド:計12軒>

  1.  Royal Hotel 沖縄残波岬(沖縄県)
  2.  THE KASHIHARA(奈良県)
  3.  ロイトン札幌(北海道)
  4. THE HAMANAKO(静岡県)
  5. Royal Hotel 那須(栃木県)
  6. Royal Hotel 八ヶ岳(山梨県)
  7. Hotel & Resorts MINAMIAWAJI(兵庫県)
  8. Hotel & Resorts ISE-SHIMA(三重県)
  9. Hotel & Resorts NAGAHAMA(滋賀県)
  10.  Hotel & Resorts MINAMIBOSO(千葉県)
  11.  Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE(和歌山県)
  12. Hotel & Resorts BEPPUWAN(大分県)

親しまれた「ロイヤル」消える

「ロイヤルホテル」と言えば、もともと大和ハウス工業グループが経営しており、創業者の石橋信夫が晩年を過ごした志賀町にもホテルが設けられ、リゾート開発が進んでいた。

直近は大和ハウス工業子会社の大和リゾート(東京)が経営してきた。

大和ハウス工業は2023年7月19日、大和リゾートの全株式をジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズ(東京)が管理する特別目的会社(SPC)の「恵比寿リゾート」に譲渡(売却)した。

これにより、各ホテルのオーナーは大和ハウス工業グループではなくなっていた。そして、2024年春のリブランドにより、長く親しまれた「ロイヤル(Royal)」の名称が消えることになる。

「地方の地方」にフランス勢⇒温泉街にも波及??

今回の運営受託が興味深いのは、フランス系ホテルが、日本の地方部というか「地方の地方」みたいなリゾートにまで入り込んできた点だ。

これまで、地方都市(特に北陸)で耳にする「外資系ホテル」というのは、金沢駅前のハイアット、富山駅前のヒルトン、福井駅前にできるマリオットのように、ターミナル駅前に立地するものばかりだった。

ところが、2023年に入り、マリオット系列のホテルが射水市や羽咋市の道の駅に隣接する形で進出することが明らかになった。そこに、今回の動き。やや趣が変わってきた気がする。

外資系ホテルは地方でまだまだ珍しい存在だが、逆に言うと、地方都市は外資系ホテルのマーケットも限られていそうということか。ちょうど主要都市に1軒ずつある今の北陸のように、それなりに出店が済めば、潰し合いを避けようと別角度から地方でビジネスを進めそう。

その現われが、マリオットの道の駅隣接ホテルや今回のフランス系リゾートホテルなのかも知れない。

そうであれば、だ。海沿いや山あいなど、日本の至るところにある温泉街にも、この流れが波及しないだろうか。

半ばゴーストタウンみたいな温泉街もある中、近年は親しみやすい価格・コンセプトの旅館を再生する「湯快リゾート」「大江戸温泉物語」あたりが勢いを増していたが、その両社も統合することになった。

次なる動きとして、外資系ホテルが「地方の地方」にある旅館を買い取ったり、運営を受託したりしても面白いように思う。で、逆に日本の旅館が海外でホテルを運営したり。そうなると、泊まる側としては楽しみが増えそうだが、果たして…。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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