【続報③】ついに金沢駅前のホテル金沢を譲渡/サイトリ細胞研究所/メディカル事業へのシフトで資産売却・集中

【続報③】ついに金沢駅前のホテル金沢を譲渡/サイトリ細胞研究所/メディカル事業へのシフトで資産売却・集中

サイトリ細胞研究所(東京)は2023年12月22日に開いた取締役会で、金沢駅兼六園口(東口)に位置する「ホテル金沢」を譲渡することを決めた。

当サイトではこれまでも何度かホテル金沢の譲渡に向けた動きを記事化しており、今回ようやく確定的な話を書けるタイミングが来た。

過去の記事は以下のリンクから

【独自】ホテル金沢を売却へ/オーナー企業が方針/コロナ禍で新陳代謝/連載㊦

金沢駅兼六園口(東口)の「ホテル金沢」を所有・経営するFRACTALE(現サイト…
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【続報①】ホテル金沢オーナー企業、あらためて「売却を加速」意向示す/不動産保有から運用へシフト

金沢駅前の「ホテル金沢」を経営するサイトリ細胞研究所(東京)は2022年11月1…
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【続報②】ホテル金沢の経営体制、オーナー企業が2023年7月に刷新/大きな動きへの伏線かも

金沢駅兼六園口(東口)のホテル金沢を経営するサイトリ細胞研究所(東京)は2023…
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譲渡の対象は土地、建物からなる固定資産(信託受益権)、その中にある動産で、決済は2024年2月を予定する。サイトリ細胞研究所は2024年3月期決算に特別利益と匿名組合分配損を計上する見込みで、影響を精査中という。

16階建て、2019年にサイトリが取得

ホテル金沢は駅前の商業施設「金沢フォーラス」と隣り合うような位置関係にある。地上16階、地下2階建てで、2008年5月に開業した。客室は約160室あり、館内には複数のレストランや宴会場を有している。

2019年9月、当時は「フラクタル」という社名だったサイトリ細胞研究所は、傘下のSPC(特別目的会社)を通じてホテル金沢を取得した。

2023年5月撮影

その後、フラクタルは社名をサイトリ細胞研究所に改め、経営資源をメディカル分野に集中させてきた。折しもコロナ禍であり、ホテル事業は取得後すぐに冬の時代に入り、重荷となっていたようだ。

そこで筆者が同社に取材したところ「ホテルの売却先を探している」との言質を得て、上のリンクにもあるように独自記事を公開していた。

その後、同社に取材すると、一転して「あれは説明を間違えた」と言われたが、筆者は続報の中で「いや、本当に売る気がないとは思えない」と書いた。

2023年7月には下の図(筆者作成)にあるように、ホテルを譲渡しやすいような組織変更がなされたし、売り先を探しているという情報も入っていたからだ。

2023年6月に公開した記事で使用した図を再掲

地元マスメディアはこの状況で、まだ更地にすらなっていない金沢都ホテル跡地のアレコレに構うばかり。向かいで実際に営業しているホテル金沢の譲渡については一度も報じなかった……変なの。

譲渡額は非公表も…価値は80億円規模?

さて、サイトリ細胞研究所は今回の譲渡相手や譲渡価額、帳簿価額を「譲渡先との取り決めにより」開示していない。

譲渡先に関して推測してみる。金沢のホテルマーケットはコロナ禍からの需要回復が鈍い一方で供給が増えて飽和状態にあり、その中でホテル金沢は良いポジショニングが確立できているとは思えない。その辺の情報に疎い海外系が取得した可能性もあるとみている。

譲渡価額や帳簿価額については、参考情報として、期中にホテル金沢が傘下に入った2020年3月期の貸借対照表を調べてみた。2020年3月末時点の有形固定資産は1年前の550万円から急に76億6,194万円増の76億5,643万円に膨らんでいる。

2020年3月期に同社が公表した他のIRニュースを見てみても、大きな固定資産の移動を伴うようなニュースは見当たらない。よって、この77億円弱のほとんどが当時のホテル金沢の価値とみられる。

上記のように、サイトリ細胞研究所は2024年3月期の決算に特別利益を計上するつもりらしい。ということは、今のホテル金沢の価値は80億円など、さらに高まっているということだろうか。何か分かったら続報として記事化したい。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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