東京カンテイ(東京)がまとめた2020年の新築マンション価格(70㎡換算)は、富山県が19年より502万円上昇して3,889万円となった。
東京カンテイのリポートによると、価格が高めのタワー物件が新たに販売されたかららしい。
石川は平均年収の9倍超の価格
20年の平均価格(万円) | 19年の平均価格(万円) | 平均年収に対する倍率(20年) | |
富山県 | 3,889 | 3,387 | 8.49 |
石川県 | 4,559 | 4,622 | 9.50 |
福井県 | 3,380 | 3,446 | 6.41 |
上の表の通り、石川、福井はやや値下がりしており、石川は平均年収に対するマンションの価格水準が高止まりを続けている。
それを表すのが、その年の各県の平均年収に対する倍率(東京カンテイは、これを「年収倍率」と呼んでいる)。石川県内で2020年に販売されたマンションのうち、70㎡換算の平均価格は4,559万円で、平均年収の9.5倍に当たる、ということで、北陸三県の中では最も高い。
富山は大幅ランクアップ
北陸各県の年収倍率、全国で見ると、どのあたりに位置するのか。
2020年は青森県で新規供給がなかったようなので、46都道府県での比較になる。石川は高い順に11位(19年は8位)。富山は19位で中位にとどまるが、19年は31位だったので、大幅なランクアップになる。福井は42位(19年は35位)。
この結果を見る際に注意すべきポイントはいくつかある。
まず、もともと「戸建て信仰」の強い北陸では、1県単位での年間のマンション供給数が決して多くなく、平均価格は特定の物件の価格水準に大きく左右される。
好立地に大きな物件が完成した場合はもちろん、近年の金沢のように、1億円を超える住戸が出ると、それだけで平均価格を大きく釣り上げてしまう。
よって、供給数の多い大都市圏と地方圏とを同列に見てよいものか、という点にはやや疑問が残る。
とは言え、高齢化が進み、まちなか居住のニーズが高まる中、近年は北陸でもコンスタントに物件が供給されてきた。基本的には県庁所在都市でターミナル駅前と中心部という2エリアでの物件開発が続いている。
こうしたエリアはそもそも地価が高く、居住を希望する層が一定以上に裕福なことから、物件価格は高くなりがち。したがって県内の平均価格もじわじわと上がる。東京カンテイがわざわざ調査して算出してくれる物件の平均価格は、そうした県ごとの変遷を見るには優れていると思う。
年収倍率はあくまで参考値??
調査で示される「年収倍率」という概念は確かにキャッチ―だし、外野的には見ていて面白いのだが、実際はそれほど意味のない数字のようにも思える。
なぜなら、物件価格は購入時に決まれば、その後の景気動向に左右されない一方、個人の年収も平均年収も社会情勢や景気動向などの変数によって揺れ動くから、仮にいつも平均的な年収をもらう人が、ある年に平均的な価格の物件を買っても、倍率は年によって上下するからだ。
年収倍率は、あくまで一つの参考指標として「上がった」「全国〇位になった」と野次馬的に楽しむ程度が丁度よいのかもしれない。