その年に販売された新築マンションが平均年収の何倍に当たるかを示す「年収倍率」の2023年版を東京カンテイ(東京)が発表し、北陸3県では富山県と石川県が下落した一方で福井県が高くなり、福井県のみが全国平均を上回った。
結果は以下の表のとおり。順位は年収倍率が最も高い都道府県が1位、最も低い都道府県が最下位となるよう表記した。
2023年分 | マンション価格(70㎡換算) | 平均年収 | 年収倍率 | 順位 |
---|---|---|---|---|
富山県 | 3,952万円 | 437万円 | 9.04倍 | 27位 |
石川県 | 4,765万円 | 477万円 | 9.99倍 | 18位 |
福井県 | 4,976万円 | 471万円 | 10.56倍 | 14位 |
全国平均 | 4,550万円 | 451万円 | 10.09倍 | ー |
「マンション価格」は2023年に販売されていた新築マンションを70㎡に換算した価格。富山県がマンション価格、平均年収とも全国平均を下回った一方、石川県と福井県は全国平均を上回った。
福井県は福井駅前に開発された「ザ・福井タワー スカイレジデンス」のように、好立地でハイグレードな物件が出たことが平均価格や年収倍率を押し上げたとみられる。
ここで、直近10年の推移を見てみる。
青色の富山県は黄色の全国平均と似た値動きをしている。
平均年収は短期間で大きく変動しないので「年収倍率」は対象物件の相場に左右される。この点、北陸各県は供給マンション数が少ないため、石川県のようにダイナミックな上下があったり、福井県のように供給がない年があっても仕方ないが、富山県は値動きが安定している。
近年の石川県や2023年の福井県では、ターミナル駅前など好立地で開発された高価格の物件が相場を強力に押し上げるが、富山県内はファミリー向けの地に足のついた物件が多いということではないか、と筆者はみている。
今、北陸では人気エリアの地価が値上がり基調にある。北陸は一戸建て志向の強い土地だが、一戸建ては地価の値上がり分を1軒で吸収するのに対し、たとえば10階建てのマンションなら10軒で値上がり分を吸収できるメリットがある。
そういう意味で、これからマンション需要が極端に高騰することはないにせよ、補足長く持続していくのではないかと思う。