大阪税関によると、2023年8月の北陸3県からの輸出総額は、前年同月と比べて33.1%減となる429億円で、30カ月(2年半)ぶりに前年同月の実績を下回った(=マイナスになった)。
コロナ禍回復フェーズで初の輸出減少
「30カ月ぶり」ということは、直近で前年同月の実績を割り込んだのが2021年2月ということ。
新型コロナウイルス禍が全国的に急拡大したのが2020年3月ごろで、その後の1年は経済が大きく落ち込んだ。今回、輸出額がマイナスになったのは、コロナ禍に起因する悪影響が一巡し、経済活動が少しずつ正常化へ向かい始めてからは初めての減少とも言える。
自動車が低調 ⇒ 富山県の輸出額が4割減
品目別の輸出額を見ると、最も大きく落ち込んだのが「自動車」で、前年同月比64.0%減の81億円となった。
これは、2023年8月9日にロシア向け経済制裁として自動車の輸出規制を強化したことが背景にあるとみられる。実際、23年8月の国別輸出額で、ロシアは第1位の輸出相手国であることこそ変わらないが、金額は89億円で7月(179億円)の半分近くに落ち込んでいる。
ロシア向けの中古車は富山県から輸出されることが多い。よって、23年8月の輸出額を県別に前年同月比増減率で比べると、石川県19.9%減、福井県18.4%減なのに対し、富山県は44.9%減で、ひときわ大きかった。
こうして見ると、ロシア向けの中古車輸出が1つの産業としてどれだけのインパクトがあったかを実感する。
輸入総額は5カ月連続マイナス
2023年8月の北陸3県の輸入総額は前年同月比39.2%減の626億円だった。アルミニウムや金属鉱は増加したが、ボリュームの最も大きな石炭の相場がひと頃より落ち着き、金額にしてほぼ半減した影響が大きかった。
これに伴い、輸出入の差額は197億円の輸入超過だった。輸入総額が輸出総額を上回るのは5月以来3カ月ぶり。