電源製造のコーセル(富山市)は2021年12月15日、2022年5月期の連結業績予想を下方修正し、21年5月期実績と比べて増収増益となる見込みから、減収、営業、経常減益に見直した。コロナ禍で半導体をはじめとした部品の調達が難航し、生産に影響しているほか、コストが上がっているため。
修正後の売上高は前期実績比1・9%減の265億円、営業利益は22・9%減の23億3000万円、経常利益は32・4%減の23億2000万円、純利益は39・2%増の15億円。
純利益は前期にスウェーデン子会社に関する役11億円の減損損失を計上していた反動により、増益となる。
同日発表した11月中間期の連結決算は増収も、原価率の悪化から減益だった。
増える受注、積み上がる受注残
さて、今回注目したいのは、中間期の受注高、受注残高だ。
決算短信によると、中間期の半年間の受注高は前年同期比2・4倍の285億円。一方、中間期末時点の受注残高は3・6倍の241億円となっている。これだけ見ても、受注が増えるペースより、まだ納品していないものが積み上がっていくペースの方が速いことが分かる。
これはコロナ前の2019年11月中間期と比べても同じ。受注高は2・4倍で20年11月期との比較と同じ水準。一方、受注残高は4・2倍となっている。
ここから分かるのは、新規受注はコロナ禍1年目も横ばい水準にあり、今期に入って倍増した一方、受注残高はコロナ1年目に(部品不足や工場の稼働制限などで)生産が少なかったため受注残高が増え、今年に入り、さらに部品不足が深刻化して生産が追い付かなくなっている、ということだろう。
足元では海外でのコロナ再拡大や生産活動の再開などにより、半導体はもちろん、それ以外の電子部品も供給が需要に追い付かない状況が続いている。これが今さら一朝一夕に解決するとも思えず、しばらくは受難の日々が続きそうだ。
株価は約5%値下がり
中間決算と業績予想の下方修正は午前11時に発表された。
コーセルの株価は発表直後に大きく値下がりし、少し戻してから、ほぼ横ばいで推移した。終値は前日より45円(4・76%)低い900円となった。