北陸で車を走らせていて「あの空き地、何になるんだろう」と思っていると、次に通り掛かった時にドラッグストア建設工事が始まっている、なんてことは最近よくあること。
経済産業省の商業動態統計によると、北陸三県のドラッグストアの店舗数は、2020年12月末時点で561店となり、前年末から62店増えた。21年は4月末で589店となり、20年12月末からの4カ月間で28店も増えている。
20年は1~4月の4か月間が年間純増数の22・5%を占めていた。21年も同じペースと仮定すると、なんと、今年は
124店
も増加する計算になる。北陸は三県合わせても人口が250万人ぐらいしかいない。その地域に1年間で124店もドラッグストアが増えるというのは驚異的だ。
拡大し続ける市場
もっとも、北陸のドラッグストア市場は拡大を続けている。
これまた経済産業省の統計によると、ドラッグストアの販売額は以下の通り。
2018年 | 2215億0800万円 |
2019年 | 2383億8700万円(前年比7・6%増) |
2020年 | 2685億2200万円(前年比12・6%増) |
一方、店舗数は以下の通り。
店舗数 | 前年比 | |
2018年 | 461店 | +26店 |
2019年 | 499店 | +38店 |
2020年 | 561店 | +62店 |
現状は店舗の伸びと比例して市場規模も拡大しているのが見てとれる。
北陸の人々が急に裕福になっているわけではないし、人口も増えていないので、ドラッグストアは年間数百億円の消費を他の業態から奪っているということだ。
単純に店舗数が増えているのに加え、生鮮品や生活用品などの品ぞろえを強化しているからでもある。例えば、クスリのアオキホールディングス(白山市)は売り上げに占める医薬品の比率が10%ほどになっている。
「それって、もう『ドラッグストア』じゃないんじゃない??」
という疑問も浮かんでしまうほどだ。
地元の新聞を見ていると、スポンサーの要請なのか、かなり細分化された恣意的なデータを切り取ってきて「もうドラッグストアは飽和状態だ」と煽っていた。
しかし、上記の数字を見る限り、まだまだ市場は拡大期にある。何なら加速している感じさえある。
出店の適地は少しずつ減っているが、取り扱い商品群などには見直しの余地もあり、当面は市場が伸び続けるとみられる。