金沢市兼六元町(兼六園下)の私鉄労組系の古いビル「北陸会館」をリノベーションしてできた「HOTEL AO KANAZAWA」が2024年10月1日にグランドオープンする(既にプレオープンしており、宿泊や飲食を受け入れている)。
内覧会にお招きいただいたので、2024年9月10日に行ってきたところ、何より印象に残ったのは金沢城公園の石川門を眼前に望む眺めだった。
※過去記事は以下のリンクから
建物は1966年完成。弊社の調べによると、HOTEL AO KANAZAWAは金沢市内では最も古い建物を使ったホテルとなる(詳細は下記の記事をご参照)。全15室で、フォンス(長野県軽井沢町)が運営する。
場所は兼六園下交差点の北東側の角地で、観光客にとっての立地は良い、建物は茶色のタイルを使ったレトロな外壁をしている。以前は「北陸会館」というビル名などが書かれていた部分には、青色を基調としたホテル名が掲げられていた。
ダイニングと寿司店を併設
1階と地下1階にダイニング「食処 金沢 酢重」(1階26席、地下1階43席)が入り、1階には他にフロントがある。
精米室を併設していて、精米したての米を銅の釜で炊くこだわりぶり。
プレオープン期間の9月中は朝・昼のみ営業し、10月からは夜の営業も始めるという。
2階は寿司店「金沢 鮨 松の下」(カウンターのみ10席)と客室。寿司店は昼・夜の営業中で、珍しい「食べ放題」プランもある。
レストランはいずれも宿泊客以外も利用できる。北陸の食材をふんだんに使う。
2階客室はスーペリアタイプで、部屋料金は4万~5万円ぐらい。
ロフト付き客室や畳ベッドの客室も
3、4階にはロフト付き客室や畳ベッドの客室がある。部屋料金は2万~3万円なので、たとえば4人で宿泊すると、1人当たりの宿泊料金はビジネスホテルに近くなる。
「兼六ルーム」は眺望が最高
ハイライトは5階にある2部屋のみのスイートルーム。特に「兼六ルーム」と呼ばれる部屋(部屋料金5万~8万円)は、兼六園下交差点側にあり、開放的な窓からは石川門が真っすぐ目線の高さぐらいに見える。
プライベートサウナまである。もう1部屋のスイートルーム「青ルーム」は石川門が見えないものの、兼六ルームよりも広く、テレワークに使えそうな机があり、サウナも対面で入れる。
屋上でイベント開催???
屋上に出ると、西(金沢城公園や兼六園、裁判所)、南(医療センターや兼六駐車場)、東(もりのさと方面)が眺められる。広報担当者によると、その眺めを生かし、いずれはビアガーデンなどのイベントをやるかも知れないという。
館内は1階の床や地下へ下りる階段の手すりなど、もともとあった状態を生かしてリノベーションされている。運営会社のある長野の作家によるアートが各階の共用部や客室を彩っており、金沢に媚びすぎてないところに好感を持った。
北陸新幹線開業前後から金沢市内では宿泊特化型ホテルの建設が相次いだ。筆者も幾度となく取材したけれど、どこも施設は基本的に全国一律の建て方で、数カ所に「石川県らしい感じのする」意匠を採用しているのみで、似たり寄ったりという感じがしていた。
地元住民が宿泊特化型ホテルを利用する機会はほとんどないので「金沢市内全体の部屋数は増えたみたいけど、自分の生活には何も影響がないよなあ」という印象だった。
AO KANAZAWAのようにレストランやイベント会場(として使えるスペース)を持つ新規ホテルは珍しい。コロナ禍や能登半島地震、北陸新幹線敦賀延伸と外部要因の大きな変化が続く中、どのように金沢マーケットで存在感を示すのか、地元住民としても楽しみだ。