【コラム】FP3級の試験を受けてみた / 試験会場には小学生も高齢者も / 社会人になっても勉強しよう

【コラム】FP3級の試験を受けてみた / 試験会場には小学生も高齢者も / 社会人になっても勉強しよう

2022年1月26日

退職後、幾つか資格試験に挑戦しようと思っている。それに向けて勉強の勘を取り戻したり、これまで敬遠してきた保険や税金のことを学んだりするきっかけにしようと、1か月ほど前にFP3級の勉強を始め、2022年1月23日に試験を受けた。

FP3級というのは、資産運用のプロである「ファイナンシャルプランナー」の最も入門的な資格で、合格したからと言って何かを独占的にできる資格ではない。誤解を恐れず例えると、漢字検定のように単なる「勲章」みたいな資格である。

手元のテキストによると、FP3級の出題分野は「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」。簡単に言えば、保険、株式や債券などの金融商品、税金、不動産、相続などに関する法律の内容や仕組みを聞かれるわけだ。

後ろの席を見ると…「えっ、小学生!?」

試験会場の金沢商工会議所では、受験生が大ホールのほか広めの会議室など3部屋ほどに分かれる。見たところ、金沢だけで、ざっと200人が受けたというところだろうか。

受けている人の年齢層はさまざまで、中心は20、30代のようだ。保険会社や銀行あたりに勤める若手社員だろうか。中には40代以上とみられる人の姿もちらほら。

そんな中、最も驚いたのは、近くの席で10歳程度の女の子が受験していたことだ。

FP3級は入門編の資格とは言え、未成年はおろか成人でも縁遠い用語が多く出てくる。筆者なんて、社会に出るまで「控除」という言葉もほとんど聞いたことがなかった。

それなのに、この子は「配偶者の所得が幾ら以下なら控除が…」「遊休地に建物を建てる場合に前面の道路の幅が3mだったら、セットバックは敷地境界から50㎝必要だから…」「親が生命保険の被保険者でも、自分が保険料を払っているのなら、保険金は相続税ではなく所得税として…」みたいなことを勉強しているというのか。

その是非はともかく、同級生が必死に「九九」を覚えている時に、相続や金融商品の運用について学ぶに至った経緯が気になる…。

コスト1万円以下で知識が増える/受験のススメ

さて、試験は2択か3択なので、仮に知識があやふやでも、制度や法律の趣旨を理解していれば回答できる。テキストは1,000円台で市販されているし、受験料は6,000円。1万円ほどあれば受験できる。

この程度のコストでありながら、勉強を通じ、これまで自分も活用できたはずなのに、知らぬがために見過ごしてきた制度の概要を学べるなど、意外な知識を得られるメリットもある。

受験会場は各都道府県にあり、そういう意味でも試験へのハードルは低い。試験は年3回で、6割の正答で合格とされるため、極端に難しい試験ではない。ちなみに、年末年始からの1カ月集中で勉強した筆者の自己採点は学科試験が46/60点(正答率77%)、実技試験が85/100点だった。

このことから、勉強期間としても、それほど長い時間を要しない。いざ「お金のことを学ぶ」と言っても漫然と勉強するのが苦手な人は、ちょっとした目標として実際に直近の試験に申し込み、一度がっつり勉強してみてはいかがだろうか。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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