北陸が「〇〇〇〇」の支出で全国トップ3独占/総務省「家計調査」2021年分を徹底解剖㊤食品編

北陸が「〇〇〇〇」の支出で全国トップ3独占/総務省「家計調査」2021年分を徹底解剖㊤食品編

2022年2月13日

※公開から半日後の2月13日夕方に一部を追記しました。文中の青色文字の箇所です

総務省が各家庭の消費実態をまとめた「家計調査」の2021年分を発表した。都道府県庁所在都市と政令指定都市の計52都市別で、品目ごとの支出額を集計した調査が意外に面白かったため、徹底的に分析することにした。

「徹底的」という大げさな物言いには理由がある。

この調査の対象品目は、なんと約680。それを対象都市ごとに、サンプル世帯が年間に幾らを費やしたかをまとめた膨大で細かなデータが並ぶ。例えば、鮮魚は「いわし」「まぐろ」「いか」「たこ」などに細分化されている。

今回は2人以上世帯が対象の調査に関し、ほぼ全ての品目(「他の水産加工品」など品目に含まれる商品が分かりにくい小分類は無視)で52都市の順位を並べ替え、北陸の3都市(富山市、金沢市、福井市)が上位に入った品目を抽出した。

資料を一通り分析するのに3時間ほどかかっただろうか。せっかくなので「㊤食品編」「㊦非食品編」に分けて紹介する。

食品・非食品を合わせた年間支出、富山市が3位

【消費支出】

1 東京都区部 387万円

2 山形市   385万円

3 富山市   381万円

どちらかと言うと、富山の人は倹約家のイメージがあっただけに、意外な結果である。ちなみに金沢市は7位で368万円、福井市は44位で302万円。最も少ないのは和歌山市の270万円だった。

続く食品の調査を見れば分かるが、富山市と金沢市は消費支出の傾向が似ていて、同じ品目でそろって上位に入ることが多かった。福井は消費支出自体が少ないので、上位に食い込む品目が少ない。ただ、思わぬところで上位に食い込んでくるため楽しみにされたい。

食料全般に対する支出、首都圏が上位独占

【食品全般】

1 東京都区部 113万円

2 千葉市   108万円

3 横浜市   108万円

4位はさいたま市、5位は川崎市で上位を首都圏が独占。そこに続くのが北陸勢だ。

6 金沢市   105万円

7 富山市   102万円

もっとも、福井市は90万円で36位で下位。最も少ない和歌山市は82万円だった。

次に主食のコメ、パン、麺の調査結果を見る。

北陸各県はパンよりコメ派

【コメ】

1 静岡市 30,104円

2 新潟市 29,639円

3 那覇市 28,634円

8 金沢市 26,316円

10 福井市 25,835円

12 富山市 25,462円

北陸勢は軒並み上位にいる。

【パン】

1 京都市 40,429円

2 堺市  38,215円

3 神戸市 37,411円

19 金沢市 33,036円

21 富山市 32,557円

35 福井市 29,719円

【麺類】

1 山形市 24,506円

2 高松市 23,676円

3 新潟市 22,953円

6 富山市 22,016円

16 金沢市 19,990円

31 福井市 18,840円

パンは4位が大阪市、5位が大津市で、圧倒的に関西が強い。北陸は明らかにパン派というよりコメ派のようだ。

魚介類は富山市が全国2位

【魚介類】

1 千葉市 88,125円

2 富山市 85,850円

3 秋田市 85,145円

5 金沢市 84,624円

33 福井市 69,798円

富山市、金沢市が上位に入った。「日本海=新鮮な魚」イメージの面目躍如。福井はサバやカニが有名なはずだが、年間の支出金額は意外に少ない。

次に、魚介類のくくりの中にある細かい品目で、北陸勢が上位に入ったものを紹介しよう。

【富山市】

1位…ぶり、魚介の漬物

3位…いか、かまぼこ

【金沢市】

2位…いわし、ぶり、いか、かに

3位…えび、魚介の漬物

【福井市】

2位…刺し身の盛り合わせ

4位…かに

ぶりは富山市と金沢市が1・2フィニッシュ。魚介の漬物、いかでも共にランクインし、食生活が似ていることをうかがわせる。「越前ガニ」で名高い福井は、カニへの支出で4位にとどまった。「高価すぎて地元の人はそれほど食べない」という「あるある」の一例だろうか。

北陸は肉類への支出が少ない

魚介類への支出で存在感を発揮した北陸勢だが、肉類の項目になると、ほとんど上位に顔を見せなくなる。小分類で北陸勢が目立ったのは数えるほど。

【合いびき肉】

2 金沢市 4,752円

【ソーセージ】

2 金沢市 9,208円

4 富山市 8,650円

ついに実現、北陸1・2・3フィニッシュ

一方、野菜や青果の調査では、比較的マイナーな野菜で北陸勢が上位に出てくる。

【富山市】

1位…生しいたけ、オレンジ

2位…えのきだけ、こんぶ

3位…大豆加工品、だいこん漬け、梨

【金沢市】

1位…れんこん

2位…油揚げ・がんもどき

3位…オレンジ

【福井市】

1位…こんぶ、油揚げ・がんもどき

2位…みかん

3位…さといも

4位…大豆加工品

富山市で働いていた数年前、同市が長年トップの座を守ってきた「昆布への支出日本一」を明け渡したことがあった。県外出身者からすると「へえ」ぐらいのものだが、富山の人たちは随分と肩を落とし、経済団体の会合では主催者挨拶で「来年こそ首位に返り咲こう」と呼びかけられているのを見た。

富山の人にとって、昆布は北前船文化など北海道との縁を示す象徴なのかも知れない、と思っていたのに、21年も福井に負けているじゃないか……。

 

さて、この分野で、北陸の3都市が全国トップ3を独占した品目がある。

これを一発で言い当てられる人は、まずいないだろう。

それは……

 

 

 

 

【ふりかけ】

1 富山市 2,405円

2 福井市 2,293円

3 金沢市 2,280円

 

リアクションの難しい品目である。

そもそも、これだけ美味しい食材が多い土地で、ふりかけが大人気とはどうしたことか。おそらく「ふりかけ」には丸美屋の製品のようなものだけではなく、とろろ昆布みたいな水産加工品も含まれているのではないか。

調査に付いた注釈によると、「ふりかけ」とは「原則として、ごはんにふりかけて食べるように調製されたもの。半生も含む」と定義され、お茶漬のり、お茶漬わかめ、ごま塩などを含むらしい。とは言え、北陸でそれだけふりかけを食べているものだろうか。筆者には理解しがたいが…。

ダントツ甘党の金沢市

調査品目が菓子類に至ると、途端に金沢市が輝きを増してくる。

【菓子類】

1 金沢市   104,543円

2 横浜市   100,893円

3 さいたま市 100,103円

18 富山市   91,661円

44 福井市   82,444円

菓子類の中でも個別の品目を見ると、金沢市が頻繁に出てくる。お茶の文化が根付く土地なので茶菓子が強いという意味かと思ったが、下記のように意外に洋菓子も強い。

そして、菓子類全体では44位では全国最下位クラスの福井であるが、特定の品目に限っては上位にランクインしてくる。

【金沢市】

1位…ケーキ、チョコレート

3位…スナック菓子、キャンデー

【福井市】

2位…ようかん、せんべい

福井市民は揚げ物が大好き??

次は総菜・飲料・外食分野のランキング。

【福井市】

1位…コロッケ、カツレツ、天ぷら・フライ

【富山市】

1位…そうざい材料セット、コーヒー・ココア

2位…カツレツ、コーヒー飲料、果実・野菜ジュース

3位…コロッケ、冷凍調理食品

4位…すし(外食)

【金沢市】

2位…チューハイ・カクテル、すし(外食)

3位…和食(外食)

印象的なのは福井市民が揚げ物好きということ。前述の「油揚げ・がんもどき」の1位に続き、揚げ物の総菜も買いまくっている実態が分かった。

さらに、富山市が上位に入った品目を見ると、共働き率の高さから総菜など簡便食品に頼る比率が高い現状が見てとれる。

 

食品編は以上。想像通りの品目もあれば、思いもよらない品目のランクインもあり、興味深かった。次回は非食品分野を取り上げる。

※㊦は以下のリンクから。

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国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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