中部経済産業局によると、2021年の北陸3県のスーパー・百貨店販売額(全店ベース)は、20年と比べて84億2,200万円(1.9%)多い3,802億5,100万円となった。
上のグラフの通り、コロナ禍初年度の20年は「巣ごもり需要」と呼ばれるまとめ買い消費に支えられて19年実績を上回り、18年の水準も超えた。21年はさらに増額した格好だ。
業態別に見ると、21年のスーパーは前年比1.2%増の3,206億2,000万円と堅調に推移した。
コロナ禍で20年に前年比19.9%減と大きく落ち込んだ百貨店は21年、5.4%増の596億3,200万円となった。まだまだコロナ禍前の水準に戻っておらず、販売額もスーパーの5分の1程度なので全体に与える影響は小さいが、じわりじわりと回復している。
スーパーと百貨店を合わせた月ごとの販売額の推移、対前年同月比増減率の推移をまとめると、以下の通りになる。
赤い線で示した増減率は、コロナ禍に入った20年春から上下が激しい。20年夏からは大まかに見て上昇基調にあり、21年夏からは横ばい傾向で推移したことが分かる。
既存店売り上げは20年から横ばい
ここまではオープン1年以内の「新店」も含む数字だった。しかし、店舗数が増えれば売上が増えるのは当然だし、新店は古い店と比べて売り上げが良い。今度はオープンから1年を超える「既存店」のみを集計した数字を見てみる。
21年の既存店売上高は20年比0.2%減で、ほとんど前年並みだった。20年は19年比3.3%減なので、減少率は改善している。ドラッグストアなど旧来の区分に言う「異業種」とも競争が進む中、既存店販売額が「前年並み」というのは、十分に健闘していると言えるだろう。
この調査の「スーパー」の定義には、アルビスや大阪屋ショップなどの食品スーパーだけでなく、イオンやアピタなど総合スーパーも含まれているとみられる。
私見では、なかなか旅行やイベントなどが実現しない日々が続き、出費の捌け口(はけぐち)として、それらの店で、普段なら手を伸ばさないような「ちょっとした買い物」をするケースが増えているように思う。だから、単純に落ち込んだ分の反動で増えているわけではなく、新店効果と「ちょっとしたぜいたく」の需要に支えられ、コロナ禍にあって底堅さを維持しているのだろう。
最後に、参考情報として、月ごとの対前年同月比増減率の推移を示したグラフを掲載する。